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勲章授与が保留になった強制動員被害者ヤン・クムドクさん「また傷ついた」

登録:2022-12-09 02:54 修正:2022-12-09 07:46
人権委が国民勲章牡丹章授与対象者に推薦 
行政安全部が国務会議に叙勲上程せず保留
ヤン・クムドクさんが8日、日帝強制動員被害者の支援団体「日帝強制動員市民の会」とのインタビューで、叙勲が保留となったことについて心境を述べている=日帝強制動員市民の会提供//ハンギョレ新聞社

 日本に謝罪を求める闘争に生涯をささげてきた強制動員被害者のヤン・クムドクさん(91)が、国民勲章の授与を保留した政府に対して苦言を呈した。

 ヤンさんは8日、日帝強制動員市民の会(市民の会)を通じて、「このように年を取っても政府が賞をくれるというので、誇らしく嬉しかった。しかしいきなり賞は与えないというのはどういうことか。気分が悪い」との立場を明らかにした。

 ヤンさんは「自分たち(政府)にやましいところがあるからではないか。私たちが日本に行って苦労したことを考えれば、何のやましいことがあるのか。『悪かった』という一言を聞くのがそんなに難しいのか」と語った。

 市民の会は、ヤンさんは先月24日に国家人権委員会から今年の「大韓民国人権賞」受賞者(国民勲章牡丹章を予定)に決まったとの知らせを受け、「これまでの活動が認められた」と喜んでいたと語った。しかし保留の知らせを聞くと、ヤンさんは「また心が傷ついた」と語り、立場を表明することを決心したと説明した。

 人権委は「世界人権デー」(毎年12月10日)を迎え、ヤンさんを国民勲章牡丹章の授与対象者に推薦した。しかし行政安全部(行安部)が6日と8日の国務会議にヤンさんの叙勲の件を上程しなかったため、実現しなかった。外交部が「手続き上、関係機関との事前協議が必要な事案」だとする意見を提出したとで、案件の上程が保留されたという。叙勲法によると、叙勲が推薦されれば、行安部は国務会議に案件として提出しなければならない。

 この日、市民の会は声明を発表し、その中で「『大韓民国人権賞』すら日本の顔色をうかがわなければならないのか」として政府を批判した。

 市民の会は「ヤンさんの大韓民国人権賞が止められた過程には、外交部が『協議が必要な事案』だとする意見を提出して介入したという背景があった」とし「実務を主管する国家機関である人権委が、すでに綿密な審査を経て最終的に推薦していた中、外交部はどのような決定的理由があって協議が必要だという意見を提示したのか、直ちに明らかにすべきだ」と指摘した。

 市民の会は「外交部はすでに7月26日に、三菱重工業の韓国内資産(特許権、商標権)特別現金化命令再抗告事件について、最高裁の担当法廷に事実上判決を保留するよう求める『意見書』を提出している」とし「強制動員被害の賠償を受け取るための強制執行の妨害に続き、ヤンさんの人権賞受賞をも妨害したことが、正常な国においてありうることなのか疑問」だと主張した。

 ヤンさんは13歳だった1944年、日本の三菱重工名古屋航空機製作所に動員されて強制労働させられ、解放後は賃金も受け取れずに帰国した。ヤンさんは他の被害者と共に、1999年3月に損害賠償を求めて日本の裁判所に提訴し、2008年11月に最終的に敗訴した。2012年10月に韓国の裁判所に改めて提訴し、2018年11月に最高裁で勝訴を勝ち取っている。

キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/honam/1070779.html韓国語原文入力:2022-12-08 15:53
訳D.K

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