一審で株価操作容疑の有罪が認められた「ドイツモーターズ株価操作」事件で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫人のキム・ゴンヒ女史と実母のチェ・ウンスン氏の口座が、公訴時効の残っている第2段階の株価操作時期に相場操縦に使われたことが確認された。裁判所は2010年10月20日以降(第2段階の株価操作)、キム女史とチェ氏の口座を通じて行われた疑わしい取引に資本市場法違反の容疑が認められると判決文に明記した。
13日、法曹界によると、ソウル中央地裁刑事23部(チョ・ビョング裁判長)は、公訴時効が残っていた第2段階の株価操作の時期にキム女史の口座を通じて行われた取引が相場操作行為に当たると判断した。犯行に使われたキム女史の口座5つ(そのうち1つの口座は公訴時効満了)のうち、少なくとも2つはドイツモーターズのクォン・オス前会長や資産管理会社の「ブラックパール・インベスト」(株価操作の「コントロールタワー」の役割)が運用し、相場操縦と馴合売買・仮装売買に活用されたと認めたのだ。キム女史の実母のチェ氏の口座の1つも、馴合・仮装売買に使われたことが明らかになった。
先の公判で第2段階の時期に株価操作の仕手筋のK氏とブラックパールの役員M氏の間に連絡が交わされた後、キム女史の口座から大量の注文が出された情況が現れたが、裁判所はこのような情況などを馴合売買・仮装売買を裏付けるものだと認めた。ただし、裁判所は「当該口座から直接注文を出したのが誰なのかは確定できない」とし、キム女史が取引自体に直接介入したかについては判断しなかった。
判決文では、他の「金主(資金源)」に比べて特にキム女史の口座が相場操縦に継続的に使われていた情況も現れた。裁判所は「第1段階に続き第2段階でも連続して委託された口座は、チェ・ウンスン、キム・ゴンヒ名義の口座程度だが、キム・ゴンヒは(第1段階の仕手筋L氏との絶縁後)第2段階以降、主砲(特定の株式の株価を引き上げる個人あるいは機関)が変更されたことにより、クォン・オスを通じて再び委託されたものとみられる」と明らかにした。また「チェ・ウンスン名義の口座はクォン・オスが借名で利用していたもの」だと付け加えた。
このような一審判決は、これまでの尹大統領側の釈明と相反する。尹大統領側は先の大統領選挙の過程で、「(キム女史が)2010年(第1段階の仕手筋)L氏に4カ月間にわたり委託管理を任せたが、損失が出たため資金を回収し、それ以降はかかわりがなかった。株価操作が起きた時期は2011年と2012年だが、その時は株式取引をしなかった」と述べた。しかし、キム女史の口座を通じて第2段階の時期以降も馴合売買・仮装売買が行われた事実が裁判を通じて認められたわけだ。
これに先立ち、一審裁判所は株価操作を主導したクォン前会長に懲役2年に執行猶予3年、罰金3億ウォン(約3100万円)を、第2段階で仕手筋の役割を果たしたK氏に懲役2年に執行猶予3年、罰金2億ウォン(約2070万円)を言い渡した。
これらの内容について大統領室は「すでに捜査段階から出て数回報道されたもので、新しい内容ではない」としたうえで、「株価操作に関与した事実がなかったため、チュ・ミエ、パク・ボムゲ法務部長官時代に2年以上捜査しても起訴さえできなかった事案だ」と述べた。