多島海(タドヘ)国立公園の区域内に建設される黒山(フクサン)空港の予定地(全羅南道新安郡黒山島)の国立公園指定が解除されることになった。
国立公園委員会は31日、政府ソウル庁舎で会議を行い、多島海、伽耶山(カヤサン)、徳裕山(トギュサン)などの国立公園計画を変更する案件を議決した。環境部と国立公園公団の職員を兼ねる委員は、黒山空港予定地の解除案処理に反対票を投じた。
同会議に参加したある委員は「環境を損なうことに対する懸念が長くあったし、異例にも投票を経て決定された」とし「いずれにせよ多島海国立公園の別の変更計画用地と共に告示しなければならないため、黒山空港予定地に関する変更計画について直ちに決定する必要はなかった」と語った。討論の過程で環境部の委員は、国立公園の区域変更を直ちに告示することはできないと指摘したという。
結局のところ「案件処理後回し」案(1案)と「今回変更計画を議決」案(2案)が投票に付された。20人の在籍委員のうち5人のみが1案を選択し、黒山公園予定地解除案の今回処理に反対した。環境部の関係者は「さらなる省庁間協議が必要だという趣旨から指摘したもの」と説明した。環境部は海洋水産部と協議し、国立公園内の漁港などの施設に対する公園区域調整作業を行っている。
この日の決定により変更計画が告示されれば、黒山空港の予定地である全羅南道新安郡黒山島の曳里(イェリ)一帯の0.675平方キロの区域が多島海国立公園から外されることになる。一方、鳴沙十里(ミョンサシムニ)海水浴場付近の5.5平方キロの区域が国立公園に新たに編入される。
全羅南道と新安郡は、1833億ウォン(約193億円)をかけて2026年の開港を目指しており、年内に着工する方針だ。黒山空港は68万3000平方メートルの用地に長さ1.2キロ、幅30メートルの滑走路が建設され、50人乗りの航空機が離着陸できるようになる。これまでは渡り鳥の生息地がかく乱されるなどを理由として、国立公園委員会の審議では公園計画変更案が保留されていた。
黒山空港は環境影響評価を残している。すでに差し戻されたことがあるだけに、きちんと手続きを踏んだ場合、2026年の開港は難しいだろうとの見方が多い。国立公園を守る市民の会のチョン・インチョル事務局長は「国立公園内で施設を設置することについて審議するというやり方があるにもかかわらず、特定の区域を公園から完全に外してしまうというやり方は、悪い先例となりうる」と懸念を示した。