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「命を絶ったあなたの夫、極楽へ送ろう」…祭儀費用3億円を巻き上げた同窓生=韓国

登録:2023-01-30 02:22 修正:2023-01-30 08:10
夫の自殺に苦しむ友人だます 
横領して生活費や娘のマンション購入代金などとして使う 
裁判所「不安な精神を悪用、罪は重い」懲役10年 
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 夫の自殺で苦しんでいる友人から、ムーダン(巫俗人)が行う祭儀「クッ」の代金の名目で数十億ウォンを騙し取った60代に対し、懲役10年が言い渡された。

 春川(チュンチョン)地方裁判所原州(ウォンジュ)支部刑事1部(シン・ギョシク裁判長)は、特定経済犯罪加重処罰などに関する法律違反(詐欺)の容疑で起訴されたA被告に対し、懲役10年を宣告した。A被告は2013年2月ごろ、友人のBさんが夫の自殺で苦しんでいること知って接近し「死んだ夫のためにクッをしなければ夫は極楽往生できず、黄泉の国をさまよう幽霊になる」と言って騙し、2021年2月までの8年間で584回にわたって32億9804万ウォン(約3億4700万円)を騙し取った疑いで拘束起訴された。

 A被告とBさんは同じ市場で商売している中で知り合った間柄だった。A被告が「私たちは小学校の同窓」だと言って近づき、親しくなった。亡くなったBさんの夫の話をしてクッを執り行うのにかかる費用として70万ウォン(約7万3600円)を受け取って以来、A被告はBさんに「あなたには霊がとりついている。それをはらうにはクッをしなければならず、さもなければあなたの息子は死ぬか、正常に生きることはできなくなる」と言い、巫俗人の言葉を伝えているかのように装って数百万ウォンから数千万ウォンにのぼるクッ代金を絶えず要求した。

 A被告はBさんと電話で話している時にクッをしているように装ったり、Bさんが金がないと言えば自分に金を借りてでもクッをしろと迫り、後に代金を支払わせたりした。しかしBさんにムーダンを紹介したり、クッを執り行う様子を実際に見せたりしたことはなかった。A被告には自らクッを執り行う能力も、人にクッを頼む意思もなかったのだ。

 BさんはA被告の要求を聞くために不動産などの財産を処分して現金を用意したが、これもやはりA被告がさせたことだった。A被告はBさんから受け取った金を生活費や老後の資金として使うつもりでおり、マンション購入費用として娘たちに送ってもいた。A被告は警察の取り調べと裁判の過程で「Bさんにはクッをしてやると言ったことはなく、ムーダンについて話したこともない。金を受け取ったことは認めるが、借りた金であって一部は返したので、公訴状にある金額をすべて横取りしたとは言えない」と主張した。

 しかし裁判所はA被告の主張を認めなかった。裁判所は「A被告は被害者の不安な精神状態や不遇の家族史を利用してクッの名目で巨額を詐取した」、「にもかかわらず犯行を認めず、むしろ被害者を非難していることなどに照らすと、罪の責任は決して軽くない」と述べた。そして「A被告は自身の生活費や家族のためにBさんから詐取した金を使っているため、その犯行の経緯や動機も非常に不良だ」、「被害者と被害者の家族はこの事件の犯行で相当な経済的被害を受けたとみられ、依然として被告人に対する厳罰を嘆願している」と量刑の理由を説明した。

チェ・イェリン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/chungcheong/1077336.html韓国語原文入力:2023-01-29 12:08
訳D.K

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