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韓国人権委「顔認識技術、基本権侵害を規制する法施行前に国が活用してはならない」

登録:2023-01-26 01:54 修正:2023-01-26 08:22
「プライバシーの秘密・自由や表現の自由を侵害する恐れがある」 
「顔認識技術が基本権を侵害しないよう法律を作るべき」
顔認識技術=ゲッティイメージコリア//ハンギョレ新聞社

 国が「ビッグ・ブラザー」のように特別な規制もなしに国民の顔情報を幅広く収集し活用する政策を推進することに対して、国家人権委員会(人権委)がブレーキをかけた。

 人権委は12日に「顔認識技術はプライバシーの秘密と自由、集会・結社の自由などを侵害する危険性がある」として「基本権が侵害されないよう立法を推進する必要性がある」とする意見を国会議長と首相に表明したことを、25日に明らかにした。人権委はあわせて、関連法が施行されるまでは国に公共の場所での「リアルタイム遠隔顔認識技術」の導入・活用をさせないようにする措置(モラトリアム)を樹立・実施すべきだと首相に勧告した。

 今回の人権委の意見表明と勧告は、ここ数年で国内でも主な省庁や地方自治体が基本権侵害についての考慮もなしに顔認識技術の導入を無分別に推進することが増えていることからなされた。2021年には政府が出入国審査に使用する人工知能(AI)を開発するという理由で、約1億7000万件の内国人・外国人の顔写真を民間業者に渡していたことや、京畿道富川市(プチョンシ)が新型コロナウイルス感染者の動線を確認する事業を推進していたことが波紋を呼んでもいる。

 人権委はとりわけ「リアルタイム遠隔顔認識技術は明白で切迫した公益的理由(切迫した失踪児童の捜索)などにより極めて例外的に使用すべき」だとし、リアルタイム顔認識技術は原則的に禁止すべきだとする意見を表明した。国連人権高等弁務官も2021年にリアルタイム遠隔顔認識技術の危険性に強い懸念を表明しつつ、公共の場所での同技術の使用を中止することを各国に勧告している。

 国会では、顔認識技術の危険性を解消するための具体的な議論はなされていない。人権委は顔認識技術による基本権侵害の懸念を解消するために、事前に「人権影響評価」を受けることを義務付ける法律を作る必要性を強調した。人権委は「人権影響評価でその顔認識システムが人権に重大な影響を及ぼす危険性が明らかになった場合は、開発・活用を中断し、措置を取った後に内容と結果を公開するよう、法で具体的手続きを定めるべき」だと述べた。

チェ・ユンテ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1076862.html韓国語原文入力:2023-01-25 12:00
訳D.K

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