元日、平和の希望とは正反対の現実が韓国メディアのヘッドラインを飾った。明け方に「(北朝鮮)超大型放射砲今日1発(昨日3発)発射」という速報が出てから、一日中北朝鮮の党全員会議の結果発表に関する報道が続いた。要するに、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記が「戦術核を大量生産し、核弾保有量を幾何級数的に増やすよう」指示し、「新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)核弾頭の増大と動員力の強化など新年の軍事力方向を提示」したという内容だった。これらの報道をBBCやCNNなど海外メディアがそのまま伝え、新年の花火大会の間に暗い背景として配置した。
昨年8月以降、核攻撃能力を備えた米軍の戦略兵器が韓米日共同訓練に動員され、北朝鮮は核武力運用の法制化と共に多様なミサイル発射で対抗したことで、朝鮮半島の軍事問題で核戦争の危険性がさらに浮き彫りになった。実際に核戦争が起こる可能性は、たとえゼロではなく過去に比べて相対的に高まったとしても、依然として低いとみるのが合理的だ。にもかかわらず、北朝鮮が核武力の強化を「自分のタイムテーブル通りに前進」させると(昨年12月26日の党中央委全員会議で)明らかにした以上、それに対する見通しとその意味の分析は必要だ。
北朝鮮版「両弾一星」と核武力三角システム
北朝鮮が2017年11月に「核武力完成」を宣言したのは、分裂弾(原子爆弾)と融合弾(水素爆弾)を含む6回の核実験を実施し、ICBMと2回の人工衛星の打ち上げに成功したことに基づいている。形としては中国が1970年に実現したいわゆる「両弾一星」(二つの爆弾と一つの人工衛星)の再現だったが、実質的な能力と技術水準においては「不十分な完成」だった。
北朝鮮は米国との交渉で核武力を碁盤の捨石のように活用することもできたが、2019年のハノイ会談が決裂してから、不死の大馬(大きすぎて潰せないもの)に育て上げたようだ。核武力の完成は一回限りの宣言ではなく、持続的な「完成度の向上」過程になった。インドとパキスタンが6回の核爆発実験の後、核武装をした例に照らし合わせると、政治的示威の目的でない限り、技術的側面では北朝鮮にとっても原子爆弾や水素爆弾の追加実験の必要性はあまり高くないかもしれない。ただし、火星17型のようにICBMの射程を十分に備えた状態で、威力の増大や多弾頭化、再進入および終末誘導の高度化などは引き続き進める必要があるだろう。
人工衛星分野では北朝鮮の発表通り軍事偵察衛星の保有と運用が目標だ。2012年と2016年に発射し軌道進入に成功した「光明星3・4号」は搭載重量が100キログラム前後で軽く、正常に作動しないという。人工衛星は同じ重さの搭載体を運搬する場合、ICBMに比べて発射初期にさらに大きな推力を必要とする。
北朝鮮が12月16日に実施した新型ICBM用固体燃料エンジン実験と18日の偵察衛星ロケット発射実験は、飛翔体と搭載体の両面で技術の進歩がかなり速いスピードで進んでいることを示した。もしかすると、近いうちに北朝鮮が東倉里(トンチャンリ)衛星発射場で固体燃料ロケットブースターを使って500キログラム以上の中型衛星を発射する場面を見ることになるかもしれない。
北朝鮮の核戦力は、米国やロシアのように核兵器三角システム(ICBM、戦略原子力潜水艦、戦略爆撃機)ではなく、戦略爆撃機を除くICBMと潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM、SLBM)のみの「二角システム」から成り立っている。爆撃機の代わりに戦術核兵器を核戦力の重要な構成要素に含むなら、「北朝鮮版核武力三角システム」が実現するだろう。北朝鮮は北極星系列の長距離SLBMの開発を持続的に進めており、2019年7月には金正恩国務委員長が建造中の原子力潜水艦を視察する姿を公開したこともあった。戦術核は短距離弾道ミサイルのKN23と24、大口径放射砲のKN25、地上発射巡航ミサイルなどの発射実験を「無数に」実施することで強化を図っている。これから北朝鮮は、おそらく短距離ミサイルは通常の訓練や武力示威用に発射し、原子力潜水艦やSLBM、巡航ミサイルの開発と実験にさらに集中するものとみられる。
「抑止」を名分に掲げ、果てしない軍拡競争
北朝鮮の核武力強化に対する反応は、米国のいわゆる「拡大抑止」の強化と韓国および日本の通常戦力の増強による抑止だ。一般的に「核の傘」と呼ばれる拡大抑止は、もともと1950年代に米国がソ連の核脅威に対して欧州のNATO加盟国に提供した保障策だった。逆説的にも、この保障策は他国の核保有を抑制し、米国に対する依存性を高めると共に、米ソ間の無限核軍拡競争を誘発して、核戦争の危険性をさらに高めた。北朝鮮と米国の核保有状態と米国の韓・日に対する拡大抑止の提供を過去の冷戦時代と比較するのは難しいかもしれないが、その逆説的側面から何らかの既視感を覚えたりもする。
朝鮮半島地域の軍拡競争は、当分構造的に深化するものと予想される。米国の対中国封鎖という世界戦略の枠組みが簡単に変わることはなく、韓国と日本が米国との同盟の枠組みから抜け出すことも難しいからだ。
抑止の実行においても構造的不平等性と不合理性が現れる。非核国である韓国と日本は、先端技術を用いた通常兵器で、先制打撃や斬首作戦、大量報復、敵基地報復攻撃など、実効性が疑われるだけではなく戦争拡大の危険性を高め、費用も多くかかる役割を担う。最強の核保有国である米国は追加費用がほとんどかからない共同訓練を「素敵な」レトリックと共に実施し、高価な武器販売で収益を上げる。韓国の今年の国防予算は名目上、日本の防衛予算より大きい57兆ウォン(約6兆円)以上だ。日本は5年内に防衛費を現水準の2倍に増やし、北朝鮮に対する「反撃能力」を備えることを決めた。
軍拡競争を終わらせるためには、敵対双方がそれぞれ二つの信頼を持たなければならない。自分の防衛力に対する十分な自信と、相手の戦争放棄の意図に対する信頼だ。南北はこの二つのうちどれも持っていないだけでなく、むしろ不信感をさらに募らせている。元日、韓国の軍統帥権者(尹錫悦大統領)は一戦を辞さない構えと行動を呼びかけた。これを受け、国防責任者は北朝鮮の政権の終焉を再び取り上げ、隷下の軍指揮官たちは「文民統制」の軍隊らしく行動の準備に乗り出した。大韓民国と朝鮮半島共同体の安全保障は、どこに向かい、どこまで行くだろうか。