北朝鮮の7回目の核実験が迫っているという説が朝鮮半島の上空を徘徊して丸1年になる。北朝鮮が昨年1月、長距離ロケット発射および核実験中止宣言の破棄を示唆し、これを前後して豊渓里(プンゲリ)核実験場復元の動きが明らかになった。これを根拠に韓米当局と多くのメディア・専門家は、北朝鮮の7回目の核実験の日付にまで言及してきたが、北朝鮮はまだ追加の核実験を行っていない。
今年に入ってからも、北朝鮮の7回目の核実験の可能性を予想する声は強い。新年初日の1月1日に報道された「朝鮮労働党中央委員会第8期第6回全員会議拡大会議」の報告で、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が「(最近の安保情勢が)戦術核兵器の多量生産の重要性と必要性を浮き彫りにし、国の核弾保有量を幾何級数的に増やすことを要求している」と述べただけに、追加の核実験は時間の問題だというのだ。
しかし、これを7回目の核実験の根拠にするのは行き過ぎだ。北朝鮮はすでに6回の核実験を実施しており、核兵器製造に必要なデータを蓄積している。これは、北朝鮮にとって既存のスカッド・ノドン系列のミサイルや超大型放射砲への戦術核の装着は技術的に難しくはないということを意味する。とりわけ、超大型放射砲の口径は600ミリになるが、口径が大きくなるほど核弾頭を小型化する必要性も低下するという点で、追加の核実験がなくても核兵器化が可能だとみることができる。
また、北朝鮮が追加で核実験をすれば、核兵器物質として使われるプルトニウム5キロ前後、または高濃縮ウラン20キロ程度を消費することになる。これは、金委員長が明らかにした戦術核大量生産および核弾頭増産計画と追加核実験が反比例関係を持っていることを意味する。
かつての北朝鮮の核実験は、核兵器開発とともに「対米圧迫用」という性格も濃かった。米国との関係正常化が切実だった北朝鮮としては、米国の関心を喚起し、交渉の場に呼び出すことに核実験ほどのものはないと考えたのだ。しかし、2019年を経て、北朝鮮は対米関係正常化という外交的目標を事実上放棄し、核武力建設そのものを目的としている。北朝鮮が対米談判用に7回目の核実験を行う可能性も低いということだ。
中朝関係も重要変数だ。北朝鮮が7回目の核実験を強行すれば、中国は非常に困難な立場に追い込まれる可能性があるが、これは2018年以来密着してきた中朝関係において摩擦を引き起こす公算が大きい。北朝鮮の7回目の核実験切迫説が提起されて以来、中国政府が継続的に北朝鮮に自制を促してきたのも、このような脈絡で理解できる。
もちろん、このような分析は、北朝鮮の7回目の核実験の可能性はないという意味ではない。北朝鮮としては、追加の軍事技術上の必要性を感じることもありうるからだ。北朝鮮が米国の戦略核弾頭に匹敵するメガトン級核弾頭の開発に乗り出すか、極超音速ミサイルや中長距離巡航ミサイルなどの新型兵器への核弾頭の装着を決心すれば、追加の核実験に乗り出す可能性もある。前者を選択すれば6回目より爆発力をはるかに高めた水素爆弾実験となる可能性が高く、後者を選択すれば核弾頭の小型化と起爆装置の高度化を検証するための低威力核実験となる可能性が高いといえる。
チョン・ウクシク|ハンギョレ平和研究所所長