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[独自]「梨泰院惨事」現場の医師たちが語るゴールデンタイムを逃した理由とは

登録:2022-12-08 06:35 修正:2022-12-08 09:24
惨事現場の災害医療支援チームの活動報告書によると
10月29日夜、梨泰院惨事で負傷者が病院に搬送されている/聯合ニュース

 梨泰院(イテウォン)惨事の現場で救急医療支援のために出動した災害医療支援チーム(DMAT)の医療スタッフが、当時の救急医療対応の問題点と建議事項をまとめた活動報告書を発表した。DMATは惨事当時の災害医療司令塔の不在と通信障害を問題として指摘し、保健所長に集中している救急医療所長の権限を分散させ、警察と医療、消防が円滑に意思疎通できるよう通信体制を改編すべきだと提案した。

 本紙が7日、共に民主党のユン・ゴニョン議員室から入手した首都圏14カ所の病院・15カ所のDMATの活動報告書を総合すると、当時、DMATは現場の救急医療所の指揮不足で救急医療支援に困難が生じたという。このDMATの活動報告書は、災害現場に出動したDMATは1週間以内に患者の処置・災害医療体制に対する建議事項をまとめた報告書を国立中央医療院の中央救急医療状況室に提出しなければならないという「災害救急医療非常対応マニュアル」によるものだ。

 10月29日の惨事現場で災害医療の司令塔が不在だった理由は、救急医療所長の役割を果たすべきチェ・ジェウォン龍山(ヨンサン)保健所長が30日午前0時9分頃になってようやく現場に到着したからだ。チェ所長は29日午後11時30分頃、現場周辺に到着したものの、「人が多くて現場に近づけない」との理由で龍山区庁に戻った。マニュアルによると、管轄保健所長は救急医療所を設置し、現場で医療資源を指揮・統制しなければならない。 チェ所長の到着が遅れたことで、救急医療所は惨事発生から2時間48分後に現場に設置された。その結果、ソウル大学病院のDMATは「災害現場を歩き回りながら」路上で患者の治療に当たるしかなかった。梨大木洞病院のDMATは現場に到着したが、業務を与えてもらえなかった。梨大木洞病院のDMATは「現場活動に関する司令塔が不在だった」と報告書に書いた。

 救急医療所が現場の状況を把握できず、医療スタッフが時間を無駄にする場面もあった。30日午前1時19分、高麗大学九老病院のDMATは救急医療所長の指示を受けてハナ銀行梨泰院支店前に移動したが、そこには死傷者はいなかった。人波をかき分けて救急医療所に戻るのに20分以上が費やされた。

 DMATは警察と医療、消防の意思疎通に困難があった点も指摘した。マニュアルは関係機関と地方自治体がモバイル状況室を設けて意思疎通を図るように定めているが、梨泰院惨事の現場では国家通信網の「災害安全通信網」ではなく、カカオトークのグループチャットを通じて災害の状況が共有された。同グループチャットには警察が含まれておらず、状況はさらにこじれた。DMATは当時のモバイル状況室について「情報がまとまっておらず、あまりにも多くの内容がリアルタイムで次々と流れたため」現場の把握が難しく、警察と意思疎通がうまく取れず「(人々の統制ができず)遠いところから医療装備を持って(徒歩で)移動」したり、「救急医療所に一般人と記者の出入りが規制されなかった」と指摘した。「(大規模な人混みで携帯電話の)通信が円滑ではなく、チームのスタッフ同士の意思疎通にも困難」が生じたりもした。

 DMATは現場の救急医療指揮体制を再編する必要があると提言した。DMAT所属の救急医学科専門医からは、統制団長(消防署長)と救急医療所長の権限を分けようという提案が多かった。ソウル大学病院のDMATは「最初に出動したDMATの医師などが救急医療所(テント)の設置可否を決定し、DMATの現場分類班、処置班、移送班などの役割を指定して運営するようにすべきだ」と書いた。ノ・サムギュ元国立防災研究所長(光云大学建築学科名誉教授)は「災害の状況では行政責任者より(医療や救急などの)該当分野の知識と経験の多い専門家が指揮を執るのが原則」だとし、「DMAT医療スタッフが役割の分配や追加出動の要請などの任務を分担できる」と語った。

 ユン・ゴニョン議員は「災害状況で救急医療の対応は、犠牲者を一人でも減らすために最も重要な体制だ。関連機関との意思疎通体制は適切なのか、現場と最終司令塔との対応システムに穴はなかったのか、点検する必要がある」と指摘した。

チョン・ホソン、オム・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1070648.html韓国語原文入: 2022-12-08 00:39
訳H.J

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