梨泰院(イテウォン)惨事に関連し、ハロウィーンフェスティバルの危険性を予想していた報告書を削除した疑いが持たれているパク・ソンミン前ソウル警察庁公共安寧情報外事部長ら2人が拘束された。惨事への対応に関するイ・イムジェ前龍山(ヨンサン)警察署長ら2人に対する令状は棄却された。疑惑が比較的明確なパク前部長らに対してのみ令状が発行され、核心被疑者として名指しされてきたイ前署長に対する令状は棄却されたということだ。これにより、警察庁特別捜査本部(特捜本)によるさらなる身柄確保などの捜査の動力に支障が生じうるとの見通しが示されている。
ソウル西部地裁のキム・ユミ令状専門判事は5日夜、パク・ソンミン前ソウル警察庁情報部長(警務官=日本の警視長に相当)、キム・ジンホ前龍山署情報課長(警正=警視に相当)に対して「証拠隠滅の恐れがある」として拘束令状を発行した。一方、イ・イムジェ前龍山署長(総警=警視正に相当)とソン・ビョンジュ前龍山署112状況室長(警正)に対する令状は棄却された。キム判事は「提出された資料のみでは証拠隠滅、逃亡の恐れについての拘束理由と相当性は認めがたく、被疑者の十分な防御権保障が必要だ」と述べた。
パク前情報部長とキム前情報課長は、ハロウィーンの人出を懸念する内容の書かれた報告書の削除を指示したとの疑惑に関して、証拠隠滅教唆の疑いが持たれている。イ前署長は、ハロウィーン期間中に非常に多くの人出が十分に予想されるにもかかわらず、事前措置も取らず、現場にも遅れて到着するなど、ずさんな対応をした疑い(業務上過失致死傷)が持たれている。ソン前室長は現場のコントロールタワーの役割を担っていたにもかかわらず、上層部にきちんと報告しないなど対応が遅れた疑い(業務上過失致死傷)が持たれている。
惨事から3日後に発足した特捜本は1カ月あまりの捜査の末、初めてイ前署長らに対する拘束令状を申請した。しかし、今回の惨事でずさんな対応をめぐる批判が真っ先に起こった現場責任者であるイ前署長らに対する拘束令状が一部棄却されたことで、政府の惨事責任を問う捜査は動力が弱まるだろうとの懸念の声があがっている。令状を再申請するかどうかなどは、現場責任者のずさんな対応についての容疑の裏付けを補強する必要があるため、上層部に対する捜査が遅れざるを得ないからだ。特捜本は、追加で検討している別の機関の被疑者に対する拘束令状の申請も慎重にならざるを得ない。