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「仲良し5人のうち3人が立ったまま死んだ」梨泰院惨事で息子を失った父親

登録:2022-11-01 02:44 修正:2022-11-01 07:19
仲良しの5人で梨泰院に…3人は一緒に立った状態で死亡 
「息子は社会に役立つ人間 
とても優しくて誠実だから…胸が張り裂けそう」
ハロウィン圧死事故の生存者による追悼メッセージ/聯合ニュース

 「2人は脱出しましたが、3人は一緒に…立ったまま死んだそうです。死んでも横たわることもできなかったんです」

 29日夜、キム・ヨンジョさん(55)はソウル梨泰院(イテウォン)で大規模な圧死事故が発生したというニュース速報が流れた時、息子(25)のことを考えた。普段は一人暮らしをしている平沢(ピョンテク)や、故郷の益山(イクサン)や全州(チョンジュ)に行って遊んでいた息子は、その日に限って4人の友人と梨泰院に行ったという。

 午後8時ごろ、電話で息子は「人が多くて食事できそうにない」と言っていた。不安だった。キムさんは息子にすぐ電話をかけたが、別の人物が出た。キムさんは急いで荷物をまとめて益山の家を出た。そしてソウルに到着する直前、息子が亡くなったという連絡を受けた。「生きている間は、思い出すたびに胸が張り裂けそうになるでしょう」。31日午後、ソウル聖母病院で取材に応じたキムさんは涙ぐみながら語った。

 キムさんは息子が立ったまま死んだということを知って胸を詰まらせた。「人が集まっていれば一方通行にすべきなのに、こっちからは上がってきてあっちからは下りてくるという状況だったから、身動きの取れない状況になってしまったんです。聞けば立ったまま死んでいたとか。立って身動きが取れないから。死んでも横たわることもできなかったんです」

 仲の良い5人が梨泰院に行き、2人だけが脱出し、息子を含めた3人は共に死亡した。一緒にいた友人が息子の頬を叩いたものの、すでに気を失っていた。「人が集まればどのようなかたちであれ規制すべきなのに、そのような部分が全くできていませんでした。非業の死です。非業の死も運命と言われればどうしようもありませんが…」

 息子は高校を卒業するとすぐに就職し、親の心配を軽くしてくれた。「平沢で働いていた職場を辞めて新しい仕事を探している途中なのに、アルバイトを頑張っていました。私たちはアルバイトをしていることも知らなかったのに、携帯電話を見たら…」

 息子は9月初めに勤めていた職場を退社し、新しい職場を探していた。「息子は社会に役立つ人間なんですよ。とても優しくて誠実だから。家族にも優しかった。末っ子とは友達以上に親しくしていたんです。(末っ子も)とても心配です」。まだ葬儀もできずに病院の待合室に座っている家族は、疲れ切った表情をしていた。

キム・ガユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1065087.html韓国語原文入力:2022-10-31 17:48
訳D.K

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