本文に移動

強制徴集を逃れて韓国に来たロシアの「ヨットピープル」、戦争難民に認定されるか

登録:2022-10-18 09:41 修正:2022-10-18 10:21
浦項のある港に入港したロシア国籍のヨット=アン・ホヨン議員室提供//ハンギョレ新聞社

  ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が先月21日、ロシアの一般国民を対象に「部分的動員令」を下した後、東海岸を通じて韓国への入国を試みるロシア人が続々と現れている。2018年の「イエメン難民」以来約4年ぶりに、韓国にまとまった数でやってくる難民を見る韓国政府と市民社会の視線には、かなりの温度差が感じられる。

 17日、本紙が野党「共に民主党」のアン・ホヨン議員室を通じて入手した海洋警察庁の資料によると、今月1日から10日までの間に、ロシアから出発したヨット6隻に乗ったロシア人27人が韓国領海で発見された。このうち6人は韓国への入国が許可されたが、残りの21人は入国目的が不明で、関連書類(ビザ、電子旅行許可)が不十分だとして入国が禁止された。海洋警察は入国が拒否された人のうち10人に対して「自国での徴集回避目的の入国が疑われる」という報告書を作成した。

 ハン・ドンフン法務部長官は最近、法務部会議で「ヨットを利用して入国しようとする外国人の中で、有効なビザの不所持か、あるいは電子旅行許可を得ていない人たちに対して入国要件の不備を理由に入国を許可しなかった」とし「これは通常の大韓民国の出入国システムによる措置」だと述べた。

 しかし、難民事件を主に担当してきた弁護士たちは、出入国当局の今回の措置は国連難民条約と現行の難民法に違反する素地があると指摘する。明示的な難民申請がなかったという理由で彼らを送りかえした場合、難民条約の定める「強制送還禁止」義務に違反しているという指摘だ。難民条約は潜在的な難民申請者に対して関連手続きなどの案内をせずに入国拒否処分ができないように定めている。

 公益法センター「アピール」のイ・イル弁護士は「当事者が明らかにした入国目的が不明だと判断したならば、当局が入国目的を何とみなしたのかが疑問だ」として「徴集令が下されたロシアの状況を考慮すれば、規定により彼らに難民申請手続きを案内すべきだ。『徴集拒否』は難民条約が定める難民認定事由だ」と話した。韓国はすべての男性が兵役の義務を履行しなければならない特殊な状況なので「徴集拒否」に対する反感が大きいが、国際法の基準によれば良心・宗教・政治的理由の徴集拒否は難民と認められる理由だ。

 ロシアのウクライナ侵攻に韓国政府が明示的に反対意思を明らかにした状況で、難民審査の機会さえ与えないのは矛盾しているという指摘も出ている。公益人権法財団「共感」のキム・ジリム弁護士は「他国が繰り広げる戦争の正当性を判断するのは容易ではないため、難民審査をする際には最大限客観的な基準で『迫害の可能性』を追求することになる。しかし、難しい基準とされていた戦争の正当性について、政府がすでに不当だと判断した状況であれば、ロシア人をより積極的に受け入れる必要がある」と述べた。

 ロシア人難民に関する問い合わせが増えている中、「一貫した人道的基準」を一日も早く設定しなければならないという声は多い。今月に入って難民を支援する市民社会連帯「難民人権ネットワーク」には、10人余りのロシア人が難民認定手続きなどを問い合わせたという。難民人権センターのキム・ヨンジュ弁護士は「ロシアの状況を見たとき、強制徴集を逃れたいという事情は難民として認められる理由に十分値する」とし「2018年にイエメン難民を受け入れたのと同じ基準でロシア難民に接するべきだ」と話した。これに対して法務部は「ビザと旅行許可などの要件を備えているかによって入国可否が決まる」とし、「原則どおり対応するという方針以外に特別な立場はない」と明らかにした。

 一方、最高裁2部(主審:チョ・ジェヨン最高裁判事)は、コンゴ出身の難民申請者家族が法務部長官などを相手取って起こした情報公開拒否処分取消し訴訟で、原告の一部勝訴判決を下した原審の審理不続行を確定した。最高裁の確定判決により、法務部は難民審査の基準となる「難民認定審査・処遇・滞在指針」(2020年4月改正)のうち、一部の外交機密を除く残りの全般的な事項を公開しなければならない。

チェ・ミニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1063090.html韓国語原文入力:2022-10-18 08:02
訳C.M

関連記事