「子持ち男性は親になることが経歴にプラスになるという側面がある。逆に子持ち女性は時間当たりの所得、週当たり勤労時間、正規職になるまたは大企業に雇用される可能性が低い傾向がある」
19日に経済協力開発機構(OECD)が発表した「2022年韓国経済報告書」には、このような内容が記されている。OECDは2年ごとに加盟国の経済の動向や政策などを分析・評価し、政策勧告事項を発表する。今年の報告書は「女性に仕事と家庭のうち一つを選択させる冷酷な現実が韓国の雇用と出生率を阻害する」との内容がかなりの部分を占めた。
OECDは男性・女性・子持ち男性・子持ち女性に分類して雇用率、時間当たりの所得、週当たりの労働時間、正規職・大企業雇用の可能性を分析した。OECDは分析結果をもとに「子持ち男性は子どものいない男性より雇用可能性がはるかに高い一方、子持ち女性は子どものいない女性より雇用可能性がはるかに低かった」とし、「韓国のこのような性別や子どもの有無による雇用格差は、OECD加盟国の中で最も大きい」と指摘した。OECD加盟国に比べて韓国女性が直面する「母性ペナルティ」(子持ち女性が職場で体験する各種の差別と不利益)が深刻だということが証明されたのだ。実際に非正規雇用の可能性では、子持ち女性のそれは子持ち男性の3倍にのぼることが分かった。
OECDは「出産した女性は労働市場の二重構造の上層部に移動する可能性が低下し、高賃金の正規労働者から低賃金の非正規労働者へと降格されるなど、高いコストを支払うことになるため、仕事か家庭かの選択を強いられている」とし、「長い労働時間、家事や育児の負担を女性に負わせる伝統的な性役割規範のせいで、韓国女性は仕事と家庭を並行できないケースが多い」と述べた。このような構造のため女性は結婚や出産を忌避したり先送りしたりすることになり、これが韓国の少子化の原因になっているとも指摘した。
こうした問題を正すため、OECDは韓国政府に対し「出産休暇・育児休職制度の財源を政府が負担すること」を勧告した。現在は90日の出産前後休暇中の労働者の給与は、60日は企業が、30日は政府が負担する(ただし、優先支援対象企業は政府が3カ月支給)。雇用保険の未加入者には3カ月間で150万ウォン(約15万1000円。月50万ウォン、約5万400円)を政府が支給している。OECDは「資格制限、低い強制性、雇用主の費用負担率の高さにより、韓国の育児休職利用率は低調」だと指摘した。実際に2020年現在で、子どもの生まれた男女の育児休職利用率は13.4%に過ぎず、育児休職申請資格のある男女であっても実際に利用したのは24.2%に過ぎない。また女性(63.9%)に比べ男性(3.4%)の利用率が非常に低い。OECDは「北欧諸国を含む多くのOECD加盟国のように、社会保障、租税で出産休暇および育児休職の給与を全額支給するとともに、制度の使用を義務化することが雇用主の支持確保に役立つだろう」と勧告した。