韓国政府の女性政策が、最近スイス・ジュネーブで開かれた国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)会議で辛らつな批判を受けた。会議出席者たちは性別賃金格差や家庭内暴力、性暴力、サイバー空間における性暴力など、韓国社会の広範な女性問題について詳しく指摘した。
先月22日(現地時間)、ジュネーブの国連本部で開かれた「CEDAW第8回国家報告書審議」には、チョン・ヒョンベク女性家族部長官が8つの省庁(女性家族部、法務部、雇用労働部、教育部、外交部、保健福祉部、人事革新処、警察庁)の代表団を率いて参加した。
チョン長官は冒頭発言で「実質的な性平等社会実現を主要国政課題に指定して推進している」とし、「2011年第7次審議で提起された委員会の勧告をもとに、性平等推進基盤の強化、女性代表性、女性暴力予防、脆弱階層の女性の保護、雇用・教育・健康など多方面で政策的努力をしている」と強調した。チョン長官は、デジタル性犯罪予防および被害者保護対策、障害者女性の結婚・移住女性・片親家族など脆弱階層別適合型支援政策を模範的な政策の事例と紹介もした。
しかし、会議に出席した委員らは韓国の女性政策について「韓国の技術、経済の進歩と比べて、女性の権利は立ち後れている」と強く批判した。
チョン長官の発言直後、発言者として出場したロザリオ・マナロー委員は「国連が勧告した包括的差別禁止法の制定がまだ行われていない」とし、「包括的差別禁止法を制定する意志があるのか」と尋ね厳しい発言を始めた。
林陽子委員が世界経済フォーラムの資料を引用して「女性と男性の賃金格差に関しては、日本と韓国がどちらが最悪なのかを判断するために競争しているように見える」と酷評すると、委員たちが爆笑する場面もあった。
ルース・ハルパリン・カダリCEDAW副議長は、性暴力被害女性の2次被害に対する懸念を示した。カダリ副議長は「性暴力被害者たちを誣告罪で告訴し、彼らを相手に名誉毀損訴訟を提起する現象が広がっている」とし、「性暴力被害者がこのように2次被害を受ける状況は、被害者を沈黙させることになる」と指摘した。カダリー副議長はまた「オンライン上で女性の人権を蹂躙する『サイバー性暴力』政策が、掲示物を削除するなど事後的な対応にとどまっている」とし、事前に予防できる政策が必要だと強調した。
チョン長官は質問に対して「政府も性暴力被害者が職場をやめるなど2次被害が発生する問題に注目している」と共感を示しながらも、原論的な回答はできなかった。
グンナー・バーグビー委員は「2012~2016年、韓国雇用労働部に報告された2109件のセクハラ事件の中で、9件だけが起訴につながった」と指摘し、現在韓国社会を席けんしているミートゥー(MeToo)運動が、加害者の処罰もなく暴露に止まる恐れがあることを示唆した。
韓国代表団の答弁の内容を問題視して会議が中断する事態も起きた。マナロー委員は、韓国政府関係者の発言の中で議事進行発言を要請した後、「何の意味もない統計ばかりを発表せず、韓国の女性を保護し、男性と同等の水準の人権を保障するためにどうするのか」を具体的に明らかにしてほしいとし、「今日の午後の会議は健全な討論ではなく時間の無駄」だと指摘した。
女性の地位向上と権益保護のための「権利章典」格である「女性差別撤廃条約」は、1979年の国連総会で採択されて以来、全世界189カ国の条約当事国が両性平等政策を樹立して施行するのに重要な指針となった。韓国は1984年に条約に加入し、周期的に関連分野の政策成果を国家報告書の形で国連に提出している。