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ストーカー拘束率、48%ですらなく4.8%…寛大すぎる韓国

登録:2022-09-17 01:17 修正:2022-09-17 08:13
拘束は万能ではないが 
ストーカー殺人が繰り返されているのに 
拘束捜査の割合は5%にも満たず
ソウル地下鉄2号線の新堂駅の女子トイレで駅員の女性が男に殺害された翌日の15日午後、事件現場の前に市民がささげた花が置かれている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 ストーカーが殺人につながる事件が相次いでいるが、ストーキング処罰法違反で検挙された被疑者の総数に占める拘束された人の割合は5%にもならない。拘束捜査は万能ではないが、ストーカー犯罪は加害者が被害者に対する強い執着と歪んだ支配欲をあらわにし、凶悪犯罪へとつながる可能性が高いことから、裁判所と捜査機関の生ぬるい対処が今回の「新党(シンダン)駅ストーカー殺人事件」のような災いを大きくしているという指摘が出ている。

今年2月の九老区ストーカー殺人事件では拘束令状を返却

 16日に本紙が共に民主党のクォン・インスク議員室を通じて確保したストーキング処罰法にもとづく通報および処理状況によれば、ストーキング処罰法が施行された昨年10月21日から今年6月までに検察が処分した3182件のストーカー事件のうち、被疑者が拘束された件数は4.8%(154件)に過ぎない。警察段階で拘束令状を請求していなかったケースもあるが、警察が請求しても検察や裁判所の敷居を越えるのは難しい。2月に発生したソウル九老区(クログ)ストーカー殺人事件でも、警察は加害者の拘束令状を請求していたが、検察がこれを返却していたため被害は防げなかった。加害者は当時、接近禁止命令に違反し、警察の身辺保護を受けていた40代の中国国籍の女性を殺害した。

 問題は、ストーカー犯罪が急速に増えている中で、捜査機関と裁判所の安易な判断がストーカー犯罪への対応の失敗につながりうるということだ。クォン・インスク議員室を通じて確保した警察の各年のストーカー犯罪検挙人数や、女性家族部の資料などによると、今年上半期にストーカー犯罪で警察に捕まった人の数は2924人。各年の検挙人数は2017年が358人、2018年が434人、2019年が580人、2020年が481人、2021年が545人(ストーキング処罰法が施行された10月21日以降の集計基準による)。今年上半期の検挙人員を5年前と比べると、8倍にのぼる。これはストーキング処罰法の施行で、ストーカーとなった加害者に対する処罰が強化され、「ストーキング=犯罪」という社会的認識が広がったことが被害者の積極的な通報につながっているためと分析される。

「ストーカーの果ては殺人…裁判所と捜査機関は視点を変えるべき」

 韓国女性弁護士会の人権理事を務めるソ・ヘジン弁護士は「『ストーカーの果ては殺人』という言葉がある」とし「裁判所と捜査機関は殺人などのより大きな犯罪へとつながる恐れのあるストーカー犯罪を見る視点を変えるべき」だと指摘した。ソ弁護士は「現行法はストーカー行為を狭く規定し過ぎている。ストーカー犯罪の手法はいくらでも進化し、加害者が法の網を巧妙にくぐり抜ける可能性もあるため、ストーカー行為をより包括的に規定する必要がある。また、告訴を取り下げるよう要求する加害者の脅迫などで2次被害を受ける被害者が多い。被害者が処罰を望まなくても加害者を処罰できるよう、反意思不罰罪条項の廃止を進めるべき」だと述べた。法務部はこの日、ストーキング処罰法からの反意思不罰罪(被害者が処罰を望まない場合は起訴できない犯罪)の廃止を推進すると明らかにした。

 ストーカー被害者保護法(ストーキング防止及び被害者保護等に関する法律)の導入を求める声も相次いでいる。韓国性暴力相談所のキム・ヘジョン所長は「ストーカー被害者が通報後、加害者処罰に至るまで不安に震えずに済むよう、被害者保護措置がきちんと取られるべき」だとし、「ストーカー被害者保護法が一日も早く導入され、国が被害者を最後まで保護するという信頼を被害者が抱けるようにすべき」だと語った。ストーカー被害者保護法案は、4月28日に国会女性家族委員会に付されているが、5カ月近くも放置されている。

パク・コウン、イ・ジュビン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/1058924.html韓国語原文入力:2022-09-16 16:29
訳D.K

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