女性に対する暴力の加害者の半分ほどが過去または現在の恋人や配偶者という韓国政府レベルの初の実態調査結果が公開された。政府はこのような実態を把握したにもかかわらず、その結果を当初の予定より5カ月遅れて公開し、報道資料の配布や結果説明のブリーフィングなどを行わなかった。
28日、女性家族部が韓国女性政策研究院に研究依頼して行った「2021女性に対する暴力の実態調査」報告書によると、成人女性7000人のうち元または現在の配偶者や恋人など親密な関係のパートナーから身体的・性的・精神的・経済的暴力および統制の被害を1回でも経験した割合は16.1%(1124人)だった。
今回の調査は2019年12月に施行された女性暴力防止基本法に基づいた法定実態調査だ。 既存の性暴力や家庭内暴力(DV)・性売買・セクハラ実態調査から漏れた女性に対する暴力の実態を把握するために進められた。成人女性を対象に親密な関係における暴力やデート暴力(DV)、ストーキング被害の実態を確認した政府単位の初めての調査だ。全国19歳以上の女性7000人を対象に、昨年9月22日から10月22日まで行われた。
これらの暴力被害をこれまで1回でも経験したことのある女性の割合は全体の34.9%(2446人)だった。韓国の成人女性3人に1人は、1回以上女性に対する暴力を経験したことがあるわけだ。このうち加害者が元または現在の配偶者、恋人の場合(1124人)を抽出すると、女性に対する暴力を経験した被害者の46.0%は親密な関係にある加害者から被害を受けたことになる。親密な関係における女性への暴力被害の類型(複数回答)のうち、精神的暴力(モラハラ)の割合が61.9%で最も高く、身体的暴力が52.5%、性的暴力が27.9%でその後を継いだ。
デートDVの被害実態を見ると、女性に対する暴力被害を一度以上経験した女性(2446人)のうち、当時付き合っていた人や過去に付き合っていた人から暴力被害に遭った割合は14.3%(350人)と確認された。デートDVの加害者が最も多く行った暴力(複数回答)は性的暴力(43.2%)で、身体的暴力(37.8%)と精神的暴力(36.4%)も多かった。
ストーキング加害者は「知らない人の場合」が多かった。男性の割合が92.0%のストーキング加害者を類型別(複数回答)で調べたところ、被害者が「全く知らない人が加害者」と答えたのが34.9%で最も多かった。ストーキング被害を受けた回答者の37.5%は「住居や職場、学校などの場所またはその付近で待ち伏せしたり、見張る行為」が最も深刻な脅威になると答えた。
女性に対する身体的・性的・精神的・経済的暴力および統制の中で、加害者が男性である割合が94.7%と最も高かった暴力の類型は「性的暴力」だった。加害者が被害者の特定の身体部位を凝視する行為(25.1%)と被害者の容貌に対する性的な評価や比喩をする行為(19.3%)、被害者の身体を強制的に触る行為(18.5%)が深刻であることが分かった。
研究陣は付加調査を実施し、昨年11月8日から同月30日まで14~18歳の女性青少年1000人を対象にオンライングルーミングの被害実態を調べた。オンラインで見知らぬ成人と1対1で対話した経験のある347人のうち28.8%(100人)がオンラインまたはオフラインの話し相手から性的な要求をされていたことが明らかになった。
研究陣は「オンライングルーミングの最も深刻な問題は、被害青少年自らが問題を深刻に思わなかったり、苦痛を感じた場合も通報をためらう場合が多く、暗数率(明らかになっていない犯罪の比率)が高いという点」だとし、「学校外の色々な機関を通じてすべての児童・青少年が関連教育を受けられるようにしなければならない」と指摘した。
調査結果は3月に発表される予定だったが、数回先送りされた末、5カ月が経ってから公開された。女性家族部は実態調査の結果発表日に関する本紙などの取材に対し、「6月中に公開する」、「7月中に公開する」と答えてきたが、8月末になって公開した。また、政府レベルで親密な関係における女性への暴力の実態を初めて把握したにもかかわらず、その結果をオンラインでのみ公開した。実態調査の結果を報道資料として配布したり、結果を説明するための会見なども行わなかった。実態調査の結果報告書を政策研究管理システムのホームページと女性家族部のホームページの政策資料掲示板に掲載しただけだ。女性家族部は、女性に対する暴力の実態調査報告書がオンラインに掲示された事実もマスコミに公式に知らせなかった。