本文に移動

韓国人「中国に反感」88%…企画された感情か、脅威の強さのためか

登録:2022-08-23 07:29 修正:2022-08-23 08:36
経済報復・黄砂・限韓令などが影響 
中国経済の急成長の負担も作用 
「親中と反中の二分法から脱皮が必要」
ゲッティイメージズバンク//ハンギョレ新聞社

 平均的な世界の人々は、米国と中国のどちらも国際秩序を不安定にさせていると考えている。ギャラップが2021年10~12月に45カ国の成人4万2060人を対象に調査したところ、米国が国際秩序を「安定にしている」(以下「安定」)が39%、「不安定にしている」(以下「不安定」)が41%だった。中国は「安定」29%・「不安定」47%だった。程度の違いはあるが、いわゆる主要2カ国(G2)は世界の人たちにとっての「不安」要因だ。

 韓国人はどう感じているのだろうか。ギャラップの調査から韓国人だけを抽出してみると、米国は「安定」57%・「不安定」34%だが、中国は「安定」4%・「不安定」88%だった。平均的な世界の人たちと違い、韓国人は「米国=安定、中国=不安定」だと認識しており、中国に対する反感が非常に強い。

 韓国人が常に「反中」的だというわけではなかった。ギャラップの「朝鮮半島周辺国の首脳に対する好感度」調査の推移によると、2014年7月第2週の調査では、中国の首脳(習近平国家主席)に対する好感(59%)が非好感(15%)を圧倒したが、最も最近の調査である2021年11月第2週では、好感が1桁(8%)に大幅下落した。

左図は中国に対する世界と韓国の認識。左上が45カ国平均の認識、右上が韓国の認識。横軸は年、縦軸は%、赤線は「不安定にしている」緑線は「安定にしている」を示す。右図は中国の習近平主席に対する韓国の好感度。灰色は好感、赤色は非好感、値は%=ギャラップ//ハンギョレ新聞社

 このようになったのは、2016年に在韓米軍のTHAAD(高高度ミサイル防御体系)配備の決定と中国の「経済報復」の悪循環が最大の原因に挙げられる。もちろん、THAADだけではない。各種の世論調査で回答者が明らかにした「中国を嫌う理由」は、黄砂・粒子状物質(PM2.5)、新型コロナウイルスの発生・対応、限韓令(韓国文化事業に対する中国内での収益活動の制限)など多岐にわたる。より構造的には、中国の圧倒的な経済力に対する負担、米中覇権競争にともなう「二者択一」の圧力、香港と台湾に対する中国の強圧的な態度などに対する反感が背景にあるといえる。

 韓国人の強い「反中・親米」感情をめぐり、最近韓国内では論争が熱くなっている。反中感情の起源を西洋中心主義の産物とする見方と、「中華帝国の帰還」の危険性を警戒する態度が衝突している。「新植民主義に似た人種主義が結びついた韓国の独特な中国認識体係」という意味を持つ「チャンケ主義」という概念を動員し、「反中・嫌中」を「構造的に企画されたイデオロギー」だと批判した書籍『チャンケ主義の誕生』(キム・ヒギョ著)がある。反対側の書物としては、「韓国にとって中国という国は、実際的な脅威であり、巨大なリスク」だとする『チャイナショック、韓国の選択』(ハン・チョンフォン著)がある。ソウル市立大学のハ・ナムソク教授(中国語文化学科)は、「長期的な観点で、内在的な中国研究は続けなければならないが、矛盾する中国の体制を正当化する方向に向かうことは避けなければならない」とし、「地政学的に次第に強まっている中国の覇権的な意図を弱めることが可能な議論を拡大しなければならない」と述べた。親中と反中の二分法を脱し、中国内の躍動性と多様性をよく見てみようということだ。

イ・ジェフン先任記者、イ・ジュヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1055758.html韓国語原文入力:2022-08-23 02:45
訳M.S

関連記事