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韓国最高裁、「強制動員関連の三菱資産売却」判決を保留…なぜ?

登録:2022-08-20 09:22 修正:2022-08-20 13:09
「審理不続行棄却」最終日まで判断を下さず 
今後本案審理に入ればまた長い時間がかかる 
「現金化遅らせる理由はない…現実問題を考慮したもの」
日帝強制動員市民の会は今月11日、光州市議会の市民疎通室で記者会見を開き、強制動員被害者にかかわる特別現金化命令の再抗告事件を速やかに判決するよう求めた=市民の会提供//ハンギョレ新聞社

 日本の戦犯企業である三菱重工業が「韓国内の資産を売却し、強制動員被害者に損害賠償金を支払うべきか」に対する韓国最高裁の判決は、審理不続行棄却(本案審理なしに事件を棄却すること)の可否を判断する期限の19日までに出てこなかった。韓日関係に及ぼす波紋を考慮して最高裁決定に神経を尖らせてきた韓国政府としては時間を稼いだわけだが、強制徴用被害者が待つ時間もその分長引くことになった。

 最高裁判所3部(主審:キム・ジェヒョン最高裁判事)は、4月19日に強制動員被害者のキム・ソンジュさん(93)が三菱を相手取って起こした特許権現金化命令の再抗告事件に対する審理不続行棄却決定を、19日までに出さなかった。審理不続行の可否を判断する期限(4カ月)が過ぎたため、今後本案審理に入って判断するという意味だ。

 キム・ソンジュさん、ヤン・クムドクさん(93)ら5人の強制動員被害者は、2012年10月に三菱を相手取って損害賠償請求訴訟を起こし、2018年11月、最高裁で「三菱は被害者1人あたり1億~1億5千万ウォンの慰謝料を支払うこと」という一部勝訴確定判決を受けた。

 しかし、三菱が慰謝料の支払いを拒否し、被害者は再び困難な法的対応に乗り出さなければならなかった。被害者たちは、三菱の国内商標権・特許権の差し押さえ訴訟を起こし、昨年9月、最高裁で勝訴が確定した。裁判所の差し押さえ命令をもとに「特許権現金化(売却)命令」(キム・ソンジュさん)、「商標権現金化命令」(ヤン・クムドクさん)を求める訴訟を起こし、下級審でも勝訴した。これに従わなかった三菱が最高裁に再抗告したことで、関連の訴訟手続きが丸10年間続くことになった。

 最高裁が本案審理を経て再抗告棄却で被害者たちに軍配を上げることもありうるが、最高裁がいつこのような決定を下すかは分からず、事件は長期化する可能性が高くなった。強制動員事件の経験が豊富なイム・ジェソン弁護士は「国内財産差し押さえ命令を下した最高裁が、現金化命令を遅らせる理由はない。法理的に審理不続行棄却をしなければならないが、現実の問題が考慮されたものと考える」と話した。これに先立ち、外交部は最高裁に「合理的な解決策を模索するために緊密な外交協力を持続している」とし、判決を保留するよう求める意見書を出したことで論争が起きていた。

シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1055473.html韓国語原文入力:2022-08-20 02:30
訳C.M

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