本文に移動

キム・ヨジョン副部長「尹錫悦という人間自体が嫌いだ」…大胆な構想を真っ向から拒否

登録:2022-08-20 06:35 修正:2022-08-20 08:17
キム・ヨジョン党中央委副部長の名前で「虚しい夢を見るな」談話発表 
尹大統領の光復節記念演説を批判…内外向けメディアともに公開 
「大胆な構想」の提案を「愚かさ」「無知」「妄想」などと猛非難 
「歴史の汚物箱に放り込まれた李明博逆徒の『非核・開放3000』のコピー版」
北朝鮮の金正恩国務委員長の実妹のキム・ヨジョン労働党副部長が今月10日、平壌で開かれた全国非常防疫総和会議の討論者として出席した。キム副部長は同日の演説で、金正恩委員長が「高熱の中でひどく苦しんだ」と明らかにした=朝鮮中央通信ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が光復節(日本の植民地支配からの独立記念日)記念演説で明らかにした対北朝鮮政策の「大胆な構想」を、北朝鮮が真っ向から拒否した。また、尹大統領個人に対する露骨な非難とともに、軍当局の対北朝鮮情報能力まであざ笑うなど、強力な対南非難戦に乗り出した。

 朝鮮中央通信は19日、キム・ヨジョン朝鮮労働党中央委員会副部長の名前で「虚しい夢を見るな」という題の談話文を掲載し、「南(韓国)側が我々の反応が気になって、首を長くして待っているようだから、今日はいくつか述べる」とし、尹大統領が「大胆な構想」を明らかにした光復節記念演説の内容を一つひとつ批判した。談話は前日発表されたもので、国外向けの朝鮮中央通信だけでなく、国内向けの労働党中央委機関紙「労働新聞」や「朝鮮中央放送」などを通じても公開された。

 キム副部長は同談話で、尹大統領の光復節77周年記念演説の内容を取り上げ、「今回、尹錫悦はもっぱら『共産勢力と対立して自由国家を建国する過程』、『共産侵略に対抗して自由世界を守るため』などの詭弁と体制対決を鼓吹することばかりに没頭した」とし、「それほど言うことがないなら、また、あえて言うまでもない譫言を並べるならば、むしろ口をつぐんでいた方が体面を保つのに有利だっただろう」と主張した。

北朝鮮のキム・ヨジョン労働党中央委員会副部長の名前で発表された対南談話文=朝鮮中央通信ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 特にキム副部長は、「最も気分を害するのは、我々に対し、身の程知らずでおこがましく、核開発を中断して実質的な非核化に転換するなら経済と民生を画期的に改善できる『果敢かつ包括的な大胆な構想』を提案するという荒唐無稽な言葉を次々と読み上げたことだ」とし、「一時、『何とか運転者』を自任して多くの人々に疑念を抱かせた人が過ぎ去り、今度はそれに負けず劣らず自分に酔っている人がもう一人現れ、権力の座に就いた」と主張した。 文在寅(ムン・ジェイン)政権の「朝鮮半島運転者論」と尹錫悦政権の「大胆な構想」を同時に攻撃したわけだ。

 キム副部長は「尹錫悦の『大胆な構想』というものは、青黒い大洋を干して桑畑を作ってみるというほど、現実とかけ離れた愚かさの窮まり」だとし、「相手がいかに受け止めるか、また北南関係を知っている人々がどう評するかも全く意に介さないようで、その『勇敢さ』と溢れる無知に疑問を感じずにはいられない」と言い放った。

 キム副部長は「『大胆な構想』は新しいものではなく、約10年前に李明博(イ・ミョンバク)逆徒が切り出して、世間の注目はおろか同族対決の産物として捨てられた『非核・開放3000』のコピー版に過ぎない」とし、「歴史の汚物箱に放り込まれた対北政策を書き写したことも見ものだが、そこに自ら『大胆』という言葉まで付けたのをみると、本当に愚か極まりない」と非難した。

 また、キム副部長は「世の中には駆け引きの対象にならないことが存在するものだ。我々の国体である核を『経済協力』ごときものと取引できるという発想が、尹錫悦の淡い夢であり、希望であり、構想であるのをみて、本当に純朴で未熟だと感じた」とし、「誰が自分の運命をカンナントッ(トウモロコシの餅)などと交換しようと言うだろうか。いまだに金をもっと積めば我々の核をどうにかできるというつまらない妄想にとらわれている者たちに送ることができるのは、苦い軽蔑だけだ」と強調した。

 さらに、「我々の域内にいまだに汚物を送り込み、安全環境を侵害する悪漢たちが、北朝鮮住民たちに対する『食糧供給』と『医療支援』などを掲げることは、我々人民の激しい憎悪と怒りをさらに爆発させるだけ」だとし、「どうか互いに意識することなく暮らせるようにしてほしいというのが切実な願い」だと主張した。『汚物』とは、対北朝鮮ビラを意味するもので、北朝鮮はこれを新型コロナウイルス感染症の拡散の原因として名指しした。

 特に、キム副部長は「南朝鮮当局の『対北政策』を評する前に、我々は尹錫悦という人間自体が嫌いだ。今後、また派手な構想を持ってドアをたたくかもしれないが、我々は絶対に相手にしないことを明らかにしておく」とし、南北関係の断絶まで予告した。

 一方、キム副部長は、尹大統領の就任100日だった昨年17日、北朝鮮が発射した巡航ミサイル2発と関連し、「我々が発射実験を実施した地点は、南朝鮮当局が軽率に発表した温泉(オンチョン)一帯ではなく、平安南道安州市(アンジュシ)の『クムソン橋』だったことを明らかにする」とし、『いつも韓米間の緊密な協力のもと、追跡監視と確固とした対応態勢という言葉を口癖のように唱えていた人たちが、どうして発射時間と地点もきちんと把握できないのか、兵器体系の諸元はなぜ公開できないのか、実に不思議だ』と皮肉った。

 これに先立ち、軍当局は17日午後、「合同参謀本部は今日未明、北朝鮮が平安南道の温泉飛行場近くで巡航ミサイルを発射したことを韓米連合資産を通じて探知した」と発表した。これと関連し、クォン・ヨンセ統一部長官は18日、国会外交統一委員会に出席し、「挑発という点では変わりがないが、とても深刻なものとはみられず、これが大胆な構想に対する拒否を意味するとすぐ解釈するにはまだ早いのではないかと思う」と述べた。

チョン・インファン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1055372.html韓国語記事入力: :2022-08-19 17:06
訳H.J

関連記事