8日夜から降り注いだ記録的な豪雨で、ソウル地域では5人が死亡し、4人が行方不明になっている(9日午前10時現在)。ソウル冠岳区新林洞(クァナック・シルリムドン)では、集合住宅の半地下に住んでいた40代の姉妹と10代の女児1人が浸水により死亡した。
9日朝、本紙が事故現場の住宅を訪ねると、建物周辺は泥水であふれていた。半地下に住む住民はもちろん、1階の住民や店の主も出てきて揚水機で水を汲み上げていた。住民たちは腰に手をあて「一体どうなっているんだ」とため息をついた。下水道のにおいが鼻をついた。
8日夜、この住宅で姉のAさん(47)と妹のBさん(46)、そしてBさんの娘(13)が死亡しているのが発見された。3人は、午後9時ごろからこの一帯を突然襲った増水を避けられず死亡したことが分かった。ある住民は「Aさんは普段からうまくしゃべれず、(どのようなタイプなのかは分からないが)障害を持っていたと聞いている」と語った。実際にAさんは知的障害者として住民センターに登録されていた。
この住宅では姉妹の母親のCさん(73)が3人と共に暮らしていたが、持病で入院中だったため難を逃れたという。同棟のある住民(73)は「昨夜9時ごろにはすでに建物前の道路はひざの高さまで水がたまっていた」とし「Cさんは私と同い年で、以前から入院していたと認識している」と語った。
住民の話を総合すると、3人は突然の増水に戸惑い、家の中に閉じ込められて抜け出せなかったものと見られる。3人を救助しようとして他の住民と共に窓を外そうとした隣家の住民チョン・イェソンさん(52)は、その時の緊迫した状況を説明しつつ、隣人を救えなかったことを悔やんだ。外にいたチョンさんは、娘の電話で状況を知り家に駆けつけ、午後9時ごろに自分の家の窓を割って20代の3人の娘を救出した後、隣人の救助に努めた。
チョンさんは「出勤途中の午後9時にうちの21歳の娘が『お父さん、窓から雨水があふれてくる』と電話してきたので、急いで車で引き返してきたら、すでに水が家の窓まで溜まっていた。慌てて窓を外して3人の娘を窓から救出した」とし、「娘たちを救出し、隣にも人が閉じ込められているという話を聞いて、急いで2階の住民の30代の男性と隣の窓を外そうとしたが、すでに水圧のせいで力では外せなかった。せめてもう1人いたら救えたのではという気がして残念だ。水がこんなに怖いということを初めて知った」と語った。