「公正を取り戻し、文在寅(ムン・ジェイン)政権を反面教師にして、うまく国政を取り仕切ると思って票を入れました。なのに、これが尹錫悦(ユン・ソクヨル)流の公正と常識ですか?」「新政権が発足したばかりなのに、このままでは光化門(クァンファムン)で集会が始まってしまうのではと心配です」
3月9日の大統領選挙で尹錫悦氏に投票した20代男性たちは、最近相次いで起きた大統領室の「私的採用」疑惑に憤りを隠せなかった。パク・ウォンギさん(仮名・23・大学生)は「最小限の信頼にも背いたのを見て『裏切られた』と思った」と語った。イ・ギヒョクさん(22、大学生)も「たとえ生計が苦しくなっても公正の価値を守りたいと願う世代として、(政府の)『自分の過ちは棚に上げ他人を厳しく責める』ダブルスタンダードに憤りを覚える。こんなことなら、周りに2番(尹錫悦候補)に票を入れるよう勧めなかったのに」と後悔した。これらの疑惑について「野党が前政権の事は棚に上げて政治攻勢を展開している」という与党「国民の力」の認識は、市民感情とはかけ離れているものに思えた。
尹大統領の国政運営支持率が就任2カ月で30%序盤まで落ち込んだ。尹大統領の主な支持層だった20代男性と大邱(テグ)・慶尚北道地域の有権者まで大挙離脱しているという分析が相次いでいる。 本紙は18日、大統領選挙で尹錫悦候補を選択したが、最近支持を撤回した20代男性9人と「カカオトーク放談会」を開き、彼らが背を向けた理由について聞いてみた。18~19日、大邱と慶尚北道浦項(ポハン)、亀尾(クミ)の市民たちに会い、尹大統領に対する今の心情も聞いてみた。
大邱の西門市場、浦項の竹島市場などで会った有権者たちは、依然として尹大統領を支持するという意見も多かったが、尹大統領の側近同士で争う姿や人事問題に対する懸念は(尹大統領を支持しない市民と)あまり変わらなかった。亀尾のセマウル中央市場で精肉店を運営するクォン・オイクさん(64)は「経済は後回しでもいいから、早く側近たちの問題を片付けなければならない。国政の安定を図るべきだ」と語った。特に若い層ほど人事問題での「公正さ」を重要に考えていた。大邱で会ったCさん(31)は、「知人の息子をなぜ採用したのか。公正と常識は就任と同時に投げ捨ててしまったのか」と語った。亀尾のタクシー運転手のAさん(64)は、尹大統領の「失言」を懸念し、「はらはらしている」と話した。西門市場で商売をしているKさん(74)は、「大統領としての振る舞いが検事時代と同じであっては困る。尹大統領の強情さが問題だ」と指摘した。
20代男性たちは、尹大統領がいろいろな疑惑と問題に対して、謝罪よりは「前政権のせいにする」ことに没頭する行動も批判した。「文在寅政権が毎度朴槿恵(パク・クネ)政権と李明博(イ・ミョンバク)政権のせいにしたこととあまり変わらない」(チョン・ミンギュ、仮名、20、大学生)ということだ。彼らは与党内のいわゆる「尹核関」(尹錫悦大統領の核心関係者)の権力争いと「イ・ジュンソク代表の追放」も尹大統領に対する支持を撤回した主な理由に挙げた。