日帝強占期(日本の植民地時代)の強制動員被害者賠償問題を解決するための官民協議体が、来月4日に韓国で発足する。長期の膠着状態に陥った韓日関係の改善に向けた先回りの行動だが、日本側の相応措置が出るかがカギとなる。
29日、外交筋の話によると、韓国外交部は強制動員被害者賠償問題の解決に向けた具体的な代案作りのため、外務次官の呼びかけで学界と専門家などが参加する官民協議体を構成し、来月4日に初会議を開くことにした。当初、外交部側は今月中に協力機構の発足を進めたが、参加者の人選作が難航し、時期が遅れたという。
韓国政府は短期間に集中的な議論を経て解決策を用意することにし、協議体内部の議論過程で被害者および支援団体とも積極的に意思疎通を図る方針だ。実際、外交部側は協議体の初会議に被害者支援団体の関係者らの出席を要請したという。しかし、協議体の性格と活動方向、参加者などに対して事前情報を全く提供せず、当事者たちの反発を招いた。
協議体の発足以前から、韓国政府が日本企業の賠償金を代わりに支給し、その後日本側に請求するいわゆる「代位弁済」が有力な解決策として浮上したことも、被害者側の反感を買っている。韓日両国企業または企業と市民社会の「自発的な」参加で造成された基金で、被害者に慰労金を支給する案が議論されている。この場合、日本政府と戦犯企業が同基金に参加するかどうかがカギとなる。
結局、協議体の成否は日本政府の態度変化にかかっていると指摘されるのも、このような脈絡からだ。2018年10月の最高裁(大法院)で強制動員被害者への賠償判決を言い渡した後、日本政府側は「徴用工(強制動員)問題は1965年の韓日請求権協定で解決済みだ。韓国最高裁の判決は国際法違反」だとし、これに関する対話そのものを拒否してきた。また、韓日関係改善の前提としてこの問題の解決を掲げ、三菱など戦犯企業と被害者間の直接対話も妨げてきた。
被害者および支援団体は「日本側の相応措置のない一方的譲歩になってはならない」と強調する。
民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「最高裁判決の精神は、日帝の植民支配が違法であり、それと直結した反人道的不法行為に対する個人の損害賠償請求権と外交的保護権は残っているということ」だとし、「韓国政府がすべきなのは、最高裁判決によって被害者が加害戦犯企業と対話ができる環境を作るよう、日本政府を圧迫すること」だと話した。
キム室長は続けて「強制動員被害者に対する賠償問題を解決するためには、基本的に韓日両国政府と企業がそれぞれ責任を負わなければならない部分がある」とし「日本側が変わらないとみて『代位弁済』を進めるならば、被害者が数十年戦って成し遂げた最高裁の世界史的判決に対して『国際法違反』という日本側の主張をそのまま受け入れる格好になるだろう」と付け加えた。