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韓米日の防衛相「3カ国のミサイル警報訓練の施行に合意」

登録:2022-06-13 05:52 修正:2022-06-13 06:38
イ国防長官、「韓米日の共同軍事演習は別々にアプローチすべき」と慎重な態度示す 
韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)復元の必要性高まる見通し
イ・ジョンソプ国防長官(右)が今月11日午前、シンガポールで開催された第19回アジア安保会議(シャングリラ対話)出席を機に行われた米国のロイド・オースティン国防長官(中央)と日本の岸信夫防衛相との3カ国防衛相会談に先立ち、記念撮影をしている=国防部提供//ハンギョレ新聞社

 韓国のイ・ジョンソプ国防長官と米国のロイド・オースティン国防長官、日本の岸信夫防衛相は11日、シンガポールで3カ国防衛相会談を開き、北朝鮮情勢や安全保障における3カ国協力の強化、インド太平洋地域の共同安全保障上の挑戦への対応について協議した。同日の会談で3カ国は、北朝鮮の核・ミサイル脅威に対抗し、ミサイル警報訓練を公開的に再開し、弾道ミサイルの探知・追尾訓練を行うことにした。

 韓米日の防衛相は、朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和定着の達成に向けた3カ国の共同努力のため、緊密に協力していくことを約束した。さらに、国際社会が国連安全保障理事会の決議を全面的に履行することが重要だという点も確認した。

 また、北朝鮮の違法な瀬取りの抑制・防止と根絶を目標とする持続的な国際協力の重要性を強調した。北朝鮮が関連したすべての国連安保理決議に従い、国際的義務を徹底的に履行することが国際社会共通の目標だという点でも意見の一致をみた。

 さらに、国際平和と安定を深刻に脅かす北朝鮮の大量破壊兵器と弾道ミサイル計画に対する深い懸念を共有し、調整された3カ国協力を通じてこのような懸念に対処していくことにした。具体的には、韓米日ミサイル警報訓練と弾道ミサイル探知・追尾訓練を実施し、3カ国が取れる措置をさらに模索し、北朝鮮の弾道ミサイル発射に対応できるよういっそう努力していくことにした。

 韓米日によるミサイル警報訓練は、3カ国のイージス駆逐艦が海上で北朝鮮の弾道ミサイルとされる模擬標的を探知・追尾し、関連情報を交換する訓練だ。同訓練は、2016年6月に北朝鮮がムスダンミサイルを発射した後、ハワイ周辺海域で初めて実施して以来、四半期ごとに実施されてきた。2018年からは、朝米の和解ムードを考慮し、訓練の事実を外部に公開しない「ローキー」方式で行われてきたという。韓国海軍は、米国主導の多国籍海上合同演習、「環太平洋合同演習(リムパック)」に参加する際、韓米日が弾道弾の追尾および情報交換能力を確認する「パシフィック・ドラゴン」演習を行ってきた。

 同日、韓米日の防衛相は、ミサイル警報訓練など従来の訓練を公開的に進めることを決めたものとみられる。北朝鮮の核・ミサイル脅威を名分に3カ国の訓練が強化されれば、「韓米日安保協力」の中核に挙げられる韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が復元される可能性がある。日本が韓国に輸出規制を断行したことを受け、文在寅(ムン・ジェイン)政権は2019年8月、同協定の終了を宣言したが、2019年11月に終了を「条件付き猶予」した。

 イ・ジョンソプ長官は会談後、記者団に対して「主に北朝鮮の核とミサイル脅威に対する韓米日安保協力の重要性に共感した。協力の意志を互いに確認できる機会になった」と述べた。また、「韓米日軍事演習については包括的なレベルで議論した」とし、「ミサイル警報訓練や弾道弾追尾・監視(訓練)などについて具体的な話があった」と説明した。イ長官は、韓米日の兵力が集まって行う実機動軍事演習については、「韓米軍事演習と韓米日軍事演習は異なる。別々にアプローチしなければならない」と慎重な態度を示した。

 3カ国の防衛相は、北朝鮮の度重なる違法な弾道ミサイル発射を強く糾弾し、北朝鮮のあらゆる種類の弾道ミサイル発射は、多数の国連安保理決議に明確に違反することを確認したと、国防部は伝えた。また、周辺諸国間の国防に関連する信頼構築が重要だという認識を共有し、このような努力を制度化するための協力を強化していくことにした。

 同日の会談結果には、中国を牽制する内容もかなり含まれた。3カ国の防衛相は、自由で開かれたインド太平洋の増進に向けた重要懸案について、情報共有やハイレベルの政策協議、共同訓練を含め、協力を深めることが重要だということで意見が一致した。また、現状を変更し、地域の緊張を高める一方的な行為にはすべて強く反対すると表明するとともに、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した。さらに、ルールに基づいた国際秩序に合致しない活動について懸念を共有し、航海と飛行の自由の重要性を強調した。すべての紛争は国際法の原則に従って、平和な方法で解決されなければならないという点も再確認した。

 このような内容は、すべて中国を狙ったものだ。昨年5月に行われた韓米首脳会談の共同声明で「台湾海峡での平和・安定維持の重要性を確認する」と明らかにし、台湾問題が両国の首脳会談で初めて言及されたのに続き、昨年11月には韓米国防相が参加した年次安保協議会の共同声明にも同じ文言が盛り込まれた。台湾問題に関する韓米の昨年の言及に比べると、同日の3カ国防衛相会談ではより具体的な内容が多く取り上げられた。

イ・ジョンソプ国防長官(左)が今月11日午前、シンガポールで開催された第19回アジア安保会議(シャングリラ対話)出席を機に、米国のロイド・オースティン米国防長官と2国間会談を行う前に記念撮影をしている=国防部提供//ハンギョレ新聞社

 3カ国会談に先立ち、同日午前、韓米の国防相は2カ国会談を開き、対北朝鮮政策の協力と拡大抑止▽合同準備態勢▽インド太平洋地域の安全保障協力について協議した。同会談でオースティン長官は、米国が核や通常兵器およびミサイル防衛能力を含め、利用可能なすべての範囲の軍事的能力を活用し、韓国に対する拡大抑止を持続的に提供することを強調した。

 韓米の国防相は、堅固な抑止と常時態勢を維持するため、今年5月の韓米首脳会談で合意された韓米合同演習および訓練の範囲と規模を拡大していくことで合意し、軍事当局間協議を通じて具体的な実行案を模索していくことにした。また、拡大抑止の実行力強化措置案について協議することにした。これと関連し、イ・ジョンソプ長官は韓米拡大抑止戦略協議体(EDSCG)の再稼動や、韓米拡張抑制手段運用演習(TTX)の開催、米戦略資産の調整と適時の展開などに向けた双方の努力が重要であることを強調した。

 韓米の防衛相は、合同演習および訓練と共に、在韓米軍の訓練施設に対する安定した自由なアプローチが、常時戦闘準備を備えた連合防衛態勢の維持にとって重要であるという点に注目したと、国防部が伝えた。これは2017年以後、仮配置状態である慶尚北道星州(ソンジュ)のTHAAD(高高度防衛ミサイル)基地の正常化を意味するものとみられる。

クォン・ヒョクチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1046596.html韓国語原文入力:2022-06-1117:56
訳H.J

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