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米中国防相、「台湾問題」で攻防戦…中国「分離しようとするなら戦争も辞さない」

登録:2022-06-11 10:34 修正:2022-06-11 11:56
米「一方的な現状変更に反対」 
米国のロイド・オースティン国防長官と中国の魏鳳和国防長官が10日、シンガポールで米中国防相会談を行っている=オースティン国防長官のツイッターより//ハンギョレ新聞社

 ジョー・バイデン米政権発足後、初めて米国と中国の国防長官が対面会談を行ったが、台湾問題をめぐって攻防戦を繰り広げた。シンガポールでのアジア安全保障会議(シャングリラ対話)初日の基調演説を行った日本の岸田文雄首相は、中国を牽制しつつ、インド太平洋国家に20億ドル相当の装備を支援すると明らかにした。

 シャングリラ対話に出席するためシンガポールを訪問したロイド・オースティン米国防長官と中国の魏鳳和国防部長(国防相)は、会議初日の10日、現地で2国間会談を行った。会談後、米国防総省は声明を発表し、両国の国防長官が「北朝鮮や、ロシアの正当化できないウクライナ侵攻を含む国際的・地域的な安保問題を話し合った」と明らかにした。米国防総省は、オースティン長官が「台湾海峡全体の平和と安定の重要性を再確認し、一方的な現状変更に反対し、台湾に対するさらなる不安定な行動を自制するよう中国政府に求めた」と明らかにした。

 魏国防相は会談で、ウクライナ戦争を利用して台湾問題を誇張しないよう述べたと、「サウスチャイナ・モーニングポスト」が中国国防部の呉謙報道官の話として報じた。ロイター通信によると、呉報道官は会談後に開かれた記者会見で、「誰かが台湾と中国を分離しようとする場合、人民解放軍はいかなる代価を払ってでも戦争を開始することに決して躊躇しない」と述べた。

 ロイター通信によると、ウクライナ戦争と関連してオースティン国防長官は、中国がロシアに物質的な支援をしないよう要求したと米高官が語ったという。会談は予定より長い30分あまり行われた。両国防相はこの日、衝突防止のための「ガードレール」(安全装置)について意見を交わしたものとみられる。

 米国防総省はこの日の会談で、オースティン長官が「戦略的危険を減らし、危機(対応)の意思疎通を向上させるために、人民解放軍が実質的な対話に参加することの重要性を強調した」と明らかにした。中国共産党の機関紙「人民日報」は、相互の戦略的な信頼と紛争防止のために意思疎通が重要だと強調する報道を載せた。

 オースティン長官と魏国防相は、今年4月に電話会談をしたことがあるが、その際にも台湾問題などをめぐり攻防を繰り広げた。

 米中の両国防相は、それぞれ会議の2日目(11日)と3日目(12日)の最初の本会議で演説を行うため、シャングリラ対話での米中間の神経戦は続くものとみられる。

 日本の岸田首相はこの日の基調演説で、「ルールに基づく国際秩序が守られるか、あるいは、強い国が弱い国を軍事的・経済的に威圧する弱肉強食の世界に戻ってしまうのかが、我々が選択を迫られている現実」だと述べた。ロシアと中国に直接言及することは避けながらも、これらの国を牽制した形だ。北朝鮮の核開発についても「国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦」だと述べた。岸田首相は安倍晋三前首相時代から日本が強調する外交方針である「自由で開放されたインド太平洋」構想を実現するとし、東南アジア諸国連合(ASEAN)との協力を強化する方針を表明した。そして今後3年間で、巡視船を含む海上安保設備など向けて約20億ドルをインド太平洋諸国に支援すると明らかにした。

チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/1046565.html韓国語原文入力:2022-06-10 23:24
訳C.M

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