民主労総の公共運輸労組・貨物連帯本部(貨物連帯)の全面ストライキが続き、一部の産業の現場では運送に支障をきたし困惑している。特に、自動車と化学の業種は生産に大きな支障があると訴えた。
ある化学業種の会社は10日、生産品を港に出荷できない上に、工場内に生産品を保管する適当な空間を設けることができず、落ち着かない様子だった。名前を伏せたある化学会社関係者は「蔚山(ウルサン)港と光陽(クァンヤン)港へのコンテナ搬入・搬出が難しい状況」だとし、「来週までストが続けば輸出品を保管するスペースがなくて工場の稼動が難しくなるかもしれない」と話した。また「石炭燃料もまともに供給されず、熱併合発電所も稼動が止まる直前」と付け加えた。
同日、起亜光州(クァンジュ)工場の従業員らは、完成車を個別託送するために脂汗を流した。自動車の部品の協力会社が自前の車両で部品を納品したため生産ラインは正常に稼動しており、1日2千台ずつ完成車を生産している。しかし、貨物連帯の全面ストで輸出用の完成車を木浦(モッポ)港に運ぶカーキャリア(108台)の運行が全面的に中止となった。カーキャリアの運行は、大半が貨物連帯光州本部の組合員らが行ってきたという。これにより、起亜光州工場は工場内にたまった4千~5千台あまりの完成車を平洞(ピョンドン)の出荷場に移している。工場内に完成車がたまれば作業に支障が生じるからだ。起亜光州工場の関係者は「今月8日と9日、事務職の社員が平洞産業団地内にある内需用の車の出荷場に完成車を1台ずつ運転していくという方法で、約600台と約1000台を移動させた」と話した。
セメント業界は、在庫が底をつき、全国のかなりの数の生コン工場が稼動を中止しており、これに伴い首都圏の主な建設現場で工事の進捗に支障が予想される。セメント業界によると、この日現在、全国の生コン工場1085カ所のうち60%ほどがセメントの在庫切れで稼動を止めている。首都圏最大の生コン供給会社の一つであるサムピョ産業は、前日にソウルの聖水洞(ソンスドン)や風納洞(プンナプドン)などにある首都圏の工場の稼動を停止したという。セメント協会によれば、スト開始以降にセメント出荷量は普段の5~10%台に減った。ある大手建設会社の関係者は「首都圏の一部の建設現場に生コンが入庫されず、他の代替工程で回した」とし「長期化する場合、建設費が大きく膨らむ可能性もある」と話した。
流通業界は製品の供給に支障が生じ、対策作りに乗り出した。ハイト真露は最近、利川(イチョン)・清州(チョンジュ)工場の既存の貨物運送委託業者であるスヤン物流の他に、別の業者1社と物流契約を結んだ。貨物連帯に所属するスヤン物流の貨物車の運転手らのストで、製品出庫率が平時の38%の水準に下がり、他の物流業者を雇用したのだ。ハイト真露の関係者は「新しい物流業者所属の貨物車の運転手は、前日から利川工場の製品運送作業に投入された」と話した。
半導体業界はまだ物流の支障にともなう困難に陥ってはいないが、ストが長期化することを懸念している。サムスン電子の関係者は「まだ特別な影響はないが、ストが長引けば状況は変わりうる」と話した。SKハイニックスの関係者も「物流の支障が3週間以上になるなら、影響を受ける恐れがある」として「これに備えて代わりの運送手段を考えている」と明らかにした。