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文前大統領自宅付近の騒音デモ、村の高齢者10人が病院通い「住民のことも考えて」

登録:2022-05-31 06:20 修正:2022-05-31 07:33
罵詈雑言飛び交う文前大統領自宅付近のデモ 
警察、「騒音被害の通報だけで100件以上」 
不眠症とストレスで治療受ける高齢の住民も 
「農繁期で忙しいのに騒音で苦痛」 
 
罵詈雑言浴びせる1人デモの参加者などを対象に 
文前大統領側、31日に侮辱容疑で告訴する見通し 
「日常破壊はもちろん、住民の生存問題」
今月30日、慶尚南道梁山市の平山村に定着した文在寅前大統領自宅付近で、ある保守団体の放送車が文前大統領を非難する放送をしている=キム・ヨンドン記者//ハンギョレ新聞社

 30日午前、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が定着した慶尚南道梁山市下北面芝山里(チサンリ)の平山(ピョンサン)村。48世帯100人余りが住む小さな村が突然騒々しくなった。文前大統領の自宅から直線で80メートルほど離れた道路に駐車した車の拡声器から、文前大統領を誹謗する歌が流れ始めたのだ。朴正煕(パク・チョンヒ)・朴槿恵(パク・クネ)元大統領の写真と自由真理正義革命党という横断幕で覆った車の外部は「逆賊」や「銃殺」など、口に出すのもはばかられる露骨な非難の文言が書かれたプラカードで埋め尽くされていた。

 車の向かい側のガードレールにも文前大統領を非難する横断幕3~4本がかかっており、逆さまに立てた文前大統領の等身大のパネルも見えた。巡察していた梁山市(ヤンサンシ)の公務員たちがパネルを片付けようとすると、1人デモの参加者は「触るな。告訴するぞ」と叫んだ。しばらく言い争いをしていた公務員たちはあきれ顔で現場を離れた。すると、突然デモの参加者が文前大統領の自宅に向かって叫び始めた。「ジョンスク(文前大統領の夫人の名前)!顔を見せてくれ」。彼の1人デモは午後まで続いた。

 文前大統領の自宅近くに住む住民たちは、保守団体のデモにうんざりしていた。住民たちは自宅の塀に「集会で年寄たちが病気になる」と書かれた抗議の横断幕をかけた。公民館にも「当局は!住民の生活権を保障せよ!」という横断幕が張られていた。文前大統領が今月10日に平山村に定着して以来、一日も欠かさず行われてきた保守団体の拡声器デモの騒音に耐えかねて、住民たちが取った自己救済策だ。

今月30日、慶尚南道梁山市平山村に定着した文在寅前大統領の自宅近くに、保守団体の集会騒音を批判する住民たちの「横断幕」が掲げられている=キム・ヨンドン記者//ハンギョレ新聞社

 60代の住民、キムさんは「今は集団デモの代わりに1人デモだけで、以前よりましな方だ。文前大統領が移り住んでから2週間、保守団体が放送車で昼夜を問わず騒いでいる。年寄たちが『罵詈雑言はやめてくれ』と言うと『芝居をするな』という荒々しい答えが返ってきた。全く話が通じず、もうお手上げだ」とあきれかえっていた。隣にいた他の住民は「農繁期で忙しい時期なのに、騒音まで加わりイライラするばかりだ。住民の暮らしのことも考えてほしい」と述べた。

今月30日、慶尚南道梁山市の平山村会館に保守団体のデモの騒音に対し、住民の生活権を保障せよという横断幕が掲げられている=キム・ヨンドン記者//ハンギョレ新聞社

 耐えかねた村の住民30人余りは24日「うるさくてもう我慢できない」などと書かれたプラカードを持って村会館で文前大統領の自宅の向かい側の道路まで行進し、保守団体に集会の中止を要求した。住民のイさんは「保守団体によるデモの騒音が村の前後にある山のせいで響き渡って、さらにうるさい。騒音で70~90代の年寄10人以上が不眠症とストレスで病院の診療を受けた」と語った。

 来月中旬までに受け付けられた文前大統領の自宅近くでの集会申告は合わせて6件。警察関係者は「騒音関連の112通報だけで100件以上入った。夜間拡声器使用と罵詈雑言を控えるよう数回警告したが、(保守団体などが)集会およびデモに関する法律の許容範囲内で集会を開いており、取り締まりや処罰が難しい」と語った。

 文前大統領秘書室は同日、報道資料を出し「平穏だった村が大声と罵詈雑言が飛び交う現場になった。住民の日常が破壊されるのはもちろん、暮らしまで脅かされる生存の問題になった。政府と治安当局に、住民の日常を踏みにじる反理性に対する断固たる対応を求める」という立場を示した。秘書室は31日、常習的に罵詈雑言を浴びせる1人デモの参加者などを侮辱などの疑いで告訴する予定だという。

キム・ヨンドン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/area/yeongnam/1044978.html韓国語原文入力:2022-05-3019:27
訳H.J

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