法務部長官候補のハン・ドンフン氏の娘が昨年ジャーナルなどに掲載した論文が、米国ハーバード大学の国際経済学エッセイコンテスト(Harvard International Economics Essay Contest・HIEEC)の2021年のテーマと一致することが13日、判明した。中学3年生~高校3年生(米国の学制では9~12年生)の生徒を対象とするこのコンテストは、米国の大学入試で大きな役に立つと韓国の留学塾が紹介する大会だ。これまでハン氏は、娘の論文について、2019~2021年の3年間に練習用に作成したレポートだとする趣旨で説明してきたが、米国大学の進学のためにスペック(内申点)を積むという、また別の状況が出てきたわけだ。
ハーバード大学は昨年10月17日、2021年のコンテストのテーマとして「国家負債」「新型コロナウイルス感染症が経済に及ぼした影響」「シャーマン法(反トラスト法)」「暗号通貨」の4種類を公告した。応募者は、一つのテーマを選択しエッセイを作成した後、12月31日までに提出しなければならなかった。ハーバード大学の経済学部学会が主催し、ノーベル経済学賞受賞者のオリバー・ハート教授が審査委員を担当するこの大会は、過去に別の場所で出版・掲載した文章はコンテストに提出できないとする規定がある。本紙がコンテストの主催側に電子メールを送り、ハン氏の娘がこのコンテストに提出したかどうかを質問したところ、「ハン・○○という名前の生徒が、暗号通貨をテーマとするエッセイを提出した」という答えが返ってきた。ハン氏の娘は、今年3月に発表した受賞者には含まれていなかった。
ハン氏の娘は、さらに昨年11~12月、“ハゲタカジャーナル”(まともな検証なしに料金を支払えば論文を掲載するところ)として知られる「ABCリサーチ・アラート」(ABC Research Alert)に論文3本を載せたが、「国家負債」(11月26日)、「シャーマン法」(11月27日)、「新型コロナウイスル感染症が経済に及ぼした影響」(12月11日)を扱っており、ハーバード大学のコンテストのテーマと一致した。ただし、新型コロナ関連のテーマは、2020年のコンテストでも似た内容で出題されたことがある。これを考慮すると、3本の論文を準備した後、そのうち1本だけをコンテストに提出し、残りは「ABCリサーチ・アラート」に掲載したものとみられる。
ハン氏はこれに先立ち、本紙が「ハン・ドンフン氏の娘、高校1年生の時に2カ月で論文5本・電子書籍4冊を書いた」と報じると、「2019年、2020年、2021年の3年間にわたり作成した文章を集め、2021年11月以降に一度に載せた」と語ったが、ハーバードのコンテストに備えて論文を作成した状況には合わない説明だ。
ハン氏側は、4本の論文のうち、新型コロナが経済に及ぼした影響をテーマに書いた文章は、2020年に実施された同じコンテスト(HIEEC)に提出したもので、2021年に新たに準備した文章ではないと説明した。当コンテストは、2020年と2021年に新型コロナについて似たテーマのエッセイを公募したことがある。ハン氏側は「ハン氏の娘は、2020年に新型コロナ関連の文章を高校生対象のハーバード大学国際経済学エッセイコンテストに提出し、これを1年後の2021年12月、ABCリサーチ・アラートに送った」とし、「残りの2本の文章は、ハン氏の娘が習作で書いた文章で、そのコンテストに提出したことはない」と説明した。
ハン氏の娘といとこらによる「スペック共同体」疑惑を扱っている「ハン・ドンフン・ドットコム」の運営者は、関連の論文とエッセイ、提出した大会などをすべて検討した後、本紙に「高校1年生がこのような多様なテーマのエッセイと論文を短い時間で書くことは不可能だ。ハン氏の娘が学術誌に出版した論文を読むと、参考文献だけで9~14個ある。実際の文章の分量は4~5ページだとはいっても、参考文献をその期間内に読みきること自体が大変で、テーマに必要な参考文献を探すことはさらに時間を多く要する難しいことだ」と述べた。