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民情首席廃止で公職者の「世評」も法務部所管に…人事の「スーパーパワー」になるか

登録:2022-05-03 06:51 修正:2022-05-03 08:28
人事検証を法務部・警察に移管…法務部の「肥大化」 
国情院の評判検証機能、情報警察に移転された後も混乱 
法務部主導した場合、人手不足などで「主観的な世評」の懸念も
ハン・ドンフン法務部長官候補が4月15日午前、候補者事務室の設けられたソウル瑞草区のソウル高等検察庁庁舎に出勤し、取材陣の質問に答えている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が大統領府民情首席室を廃止し、人事検証機能を法務部に移管することを決め、ハン・ドンフン候補が率いる法務部の権限の肥大化への懸念が高まっている。

 政権引き継ぎ委員会は今月1日、大統領室の「2室5首席」編制を確定し、民情首席を廃止し人事検証機能を法務部と警察に移管すると公式に発表した。これまで人事検証を支援していた警察に法務部も加わり、「多元化した評判の検証を通じた人選」(チャン・ジェウォン次期大統領秘書室長)を目指すと、引き継ぎ委側は説明した。

 法務部に人事検証機能まで移管されることで、権限の肥大化への懸念が高まっている。文在寅(ムン・ジェイン)政権では、大統領府人事首席が公職候補者を3~5倍数で推薦し、民情首席がこれを検証する一方、公職候補者に「事前質問書」を作成してもらい、大統領府公職綱紀秘書官傘下の人事検証チームが交差検証を行った。これまでは国家情報院が「評判検証」の資料を提供したが、文在寅政権発足後、国情院の国内情報業務が廃止されたことで、情報警察がこの機能を代わりに担当し、民情首席室が総括してきた。

 尹錫悦次期大統領は「世評の検証を掲げ、国民の身辺調査を行ってきた」として民情首席室の廃止を決めたが、法務部がこの業務に担当することになっても、依然として懸念は残る。法務部が捜査権を持つ検察を指揮し、公職者検証を名分に個人情報まで収集できるためだ。

 検察の権限を制限するための捜査・起訴権分離法案は、検察の捜査権の完全廃止まで進むには不十分であり、尹次期大統領の法務部長官の捜査指揮権廃止の公約もまだ現実化していない。このため政界では、尹錫悦政権初期に捜査情報が法務部に蓄積されるのではないかという懸念の声もあがっている。

 さらに尹次期大統領が周りの反対にもかかわらず、検察内の最側近であるハン・ドンフン候補を法務部長官に指名し、法務・検察を直轄統治する可能性まで高まっている。尹次期大統領が民情首席室廃止の根拠として挙げた「検証を名分にした身辺調査」が、法務部を通じて行われると懸念されるのもそのためだ。大統領府民情首席室で勤務したことのある人物は「人事検証をすることになれば、法務部に高位公職者など政府の主要機関の個人情報がすべて集まることになる。法務部が片手には公職者の個人情報を握り、もう片方の手は検察捜査権とつながっているのに、それを牽制する手段もない」とし、「法務部が過去の国家情報院より強力な陣容を構築することになり、検察共和国のコントロールタワーになる可能性が高い」と述べた。

 世評の検証が主観的に行われる可能性が依然としてある上、尹錫悦政権発足後、常時発生する検証の需要に法務部が効果的に対処できるかどうかについても疑問の声があがっている。大統領府公職綱紀秘書官室で勤務したことのある検察幹部は「法務部の人事検証の段階でも主観性が介入する余地が多い。国情院の業務が警察に移管された時も右往左往したのに、経験のない法務部でどうやって担当するというのか、分からない」と話した。法務部での勤務経験のある検察幹部も「人員が少ない法務部で検証業務を担当するのはかなり厳しいだろう。結局、主観的な世評が中心となり、人選過程で法務部の影響力が働いて、法務部の力が肥大化する可能性が高い」と述べた。

ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1041293.html韓国語原文入力:2022-05-0219:57
訳H.J

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