本文に移動

[コラム]ハン法相候補の携帯パスワードと法相の資格

登録:2022-04-28 06:46 修正:2023-08-30 08:14
//ハンギョレ新聞社

 ハン・ドンフン法務部長官候補に対する国会人事聴聞会が5月4日に開かれる。聴聞会で確認すべき争点が少なくない。携帯電話のパスワードを教えなかったために「チャンネルAの検察・マスコミ癒着」疑惑に対する検察の捜査が事実上不可能になった経緯をめぐっても、攻防が繰り広げられる見通しだ。

 韓国検察は2020年6月、ハン氏のiPhone(アイフォン)11の携帯電話を押収したが、結局パスワードを解除できず、内容に対する「デジタル・フォレンジック」には着手すらできなかった。検察は6日、ハン氏に対する容疑なしの結論を発表し、「数字と文字が結合したアイフォンのパスワードを解除するために設定できる場合の数はほぼ無限だ」とし、「現在の技術力では解除までどのくらいかかるかすら予測できない」と説明した。

 しかし、イスラエルのセキュリティー装備会社「セレブライト」のソフトウェアを使えばアイフォンもパスワードの解除が可能である。韓国検察も2018年に同社とライセンス契約を結んだ。ただし、このバージョンはアイフォン10(X)までしか解除できないという。セレブライトのホームページにも支援装備はアイフォン11以前の機種(XS/XR)までと記載されている。しかし、ニューヨーク・タイムズの報道(2020年10月21日)によると、解除が難しい最新のアイフォン機種でも、1台当たり2千ドル払ってセレブライト本社に送れば、解除を依頼できるという。5日前にアイフォン12が発売された直後に掲載された記事だから、アイフォン11がここで言及された最新機種に当たる可能性が高い。

 検察が果たしてこれを含め、全力を傾けたのかについては、疑問が残る。パク・ポムゲ法務部長官が7日、「なぜそれが技術力の限界なのかは、中央地検がいつかは説明しなければならない」と述べたことが、このような疑問を代弁する。量子コンピューターの発展がもう少し早ければという声があがるのも、このような疑問と心残りのためだろう。

 パスワードを教えなかったのは、憲法上の被疑者の権利と言える。防御権を行使したからといって、法適用に不利益があってはならない。ただし、現職の検事として、犯罪容疑から逃れるため証拠調査に協力しなかったのは、職業倫理に反する可能性がある。したがって、このような人をあえて法務部長官に任命することが適切かどうかについて、綿密に検討する余地はいくらでもある。法執行機関のトップとして国民に信頼を与えることができるかどうか、疑念を抱かせるうえ、デジタル・フォレンジックの強化などの政策推進においても矛盾が生じる可能性があるからだ。

ソン・ウォンジェ論説委員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1040629.html韓国語原文入力:2022-04-28 02:41
訳H.J

関連記事