野党「国民の力」の法律諮問委員会は22日、イム・ジョンソク元大統領秘書室長、チョ・グク元法務部長官、カン・ギョンファ前外交部長官ら、文在寅政権の長官経験者10人を職権乱用などの疑いで最高検察庁に告発したと発表した。
同委員会が告発した事案は大きく分けて2つ。イム元室長とチョ元長官、カン前長官は2つの容疑ともに名があがっている。
まず2017年から2018年にかけての大統領府特別監察班の違法な監察権限行使および不正行為黙殺容疑(職権乱用権利行使妨害罪および職務遺棄罪)だ。3人のほかにもパク・ヒョンチョル元大統領府反腐敗秘書官、イ・インゴル元大統領府特別監察班長、キム・ヒョンミ元国土交通部長官が告発された。国民の力の前身である自由韓国党は2019年1月、彼らを同じ容疑で検察に捜査依頼している。告発は犯罪容疑を裏付ける資料や供述などを確保した際に主に用いるのに対し、捜査依頼は通常、事案が軽いか違法行為の証拠確保が難しい場合に用いられる。
2つ目の事案は、2017年から2018年にかけて前政権の公共機関の役員らの「ブラックリスト」を作成した容疑(職権乱用権利行使妨害罪)だ。3人のほかにも元人事首席のチョ・ヒョノク駐ドイツ大使、キム・サンゴン前社会副首相、元農林畜産食品部長官のキム・ヨンロク全羅南道知事、チョン・ヒョンベク元女性家族部長官が告発対象として名を連ねた。朴槿恵(パク・クネ)政権時代に任命された政府傘下の公共機関の役員から辞表を引き出したり、辞任を促したりした情況が見られるとの趣旨によるもの。
共に民主党は、「政治報復の序幕を開始するという宣言だ」として反発した。民主党のシン・ヒョニョン報道担当は同日の書面ブリーフィングで「与野党が検察の捜査権と起訴権の分離に合意した日に、署名して振り返るなり政治報復のエンジンをかけるとは衝撃的だ」とし、上のように批判した。シン氏は「ひとりの捜査官の一方的な暴露で始まった大統領府特別監察班の違法監察疑惑事件は、2019年4月にすべて嫌疑なしとなっている」とし「検察は当時『上部へと捜査を進める必要性がなかった』と発表している」と説明した。さらに、「ブラックリスト事件も、国民の力が前身の自由韓国党時代の2019年に捜査を依頼しているが、不起訴処分に終わった事件」だとし、「政権が変わったからといって、古いキャビネットから(事件を)引っぱり出してもう一度捜査せよとはあきれる。結局は大統領選挙期間中に尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が公言した通り、政治報復のシグナルを打ち上げるという宣言だ」と指摘した。そして、「政治報復の不幸な歴史を繰り返そうということであれば、あらゆる手段を動員して立ち向かう」と付け加えた。