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懸念・非難あっても法相に最側近の指名強行…尹次期大統領の狙いは

登録:2022-04-14 07:48 修正:2022-04-14 09:04
地検長らを捜査の第一線から引き抜く 
政治報復の議論を避けながらも 
監査機関を握るという意向 
警察組織を管理する行政安全部は 
尹次期大統領の高校の後輩を長官に
尹錫悦次期大統領が13日、ソウル鍾路区通義洞にある第20代政権引き継ぎ委員会の会見室で開かれた第2回内閣発表で、ハン・ドンフン法務部長官候補者を紹介している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領は13日、法務部長官の候補者に、検察内の最側近であるハン・ドンフン検事長を指名した後、「グローバル・スタンダード」「流暢な英語の実力」「米国の弁護士」「司法制度の整備の適任者」だと熱心に強調した。ハン氏を説明する代表的な修飾語である「次期大統領の最側近」「最高の特捜通(刑事事件担当の検察官)」に関連する言及は一言もなかった。大統領選の前には、文在寅(ムン・ジェイン)政権に対する捜査の必要性に言及し、検察特別捜査の頂点であるソウル中央地検長の候補として自らハン氏を取り上げたのとは180度変わった態度だ。

 尹次期大統領が「国際基準に合った司法制度の整備」のためにハン氏を指名したと考える人は、検察内部には誰もいない。ハン氏を捜査の第一線から除くジェスチャーで報復捜査の議論を遮断すると同時に、検察の人事権を握る大統領本人と最側近である長官を通じた検察の直轄統治を確実にするという意向だとする見方が支配的だ。

 これは、警察組織を管理する行政安全部の長官に、尹氏の出身の沖岩高校とソウル大学法学部の後輩の法曹人を指名したことにもつながる。検察総長出身で監査機関の力と生態に精通している尹氏が、検察と警察の二つの組織だけは、政権の要人に任せず自らが直接握る意向だということだ。政権引き継ぎ委員会の内部でも、法務部と行政安全部の長官候補者をまったく予測できなかった理由でもある。

 ハン氏はこの日、次期大統領の最側近として捜査の公正性への懸念が提起されているという質問に、「(次期大統領とは)盲従したり引いたり押したりする関係ではない。盲従してこなかったし、今後もそういうことはない」と述べた。長官候補者が自身を指名した次期大統領との関係の説明で「盲従しない」という強い表現を使うこと自体、逆説的に二人の関係がいかに近いのかを示しているといえる。ハン氏は、尹錫悦次期大統領を「錫悦兄さん」と呼ぶほど近い間柄で意見を交わす関係であることが知られている。次期大統領の配偶者であるキム・ゴンヒ氏とも何度も連絡した事実が明らかになった。

 ある検察幹部は「特捜通として主要な事件で成果を出してきたハン検事長を検察内で十分に重用できたのに、捜査権がない長官に抜擢したのは、外見上は政治報復の懸念を払拭させることに焦点を合わせたものとみられる」と述べた。ある高官は「尹氏は最側近の長官と検察総長の直轄体制を構築し、検察組織を完全に掌握することになるだろう」と予想した。

13日、法務部長官候補者に指名されたハン・ドンフン司法研修院副院長(検事長)が、ソウル鍾路区通義洞にある第20代政権引き継ぎ委員会の会見室で記者団の質問に答えている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 尹次期大統領がハン・ドンフン法務部長官のカードを出したことで、彼が公約した法務部長官の捜査指揮権の廃止も、実際には大した意味はなくなるという分析も出ている。ハン氏はこの日、尹錫悦-ハン・ドンフン体制の検察に対して捜査指揮権を発動したチュ・ミエ前長官とパク・ボムゲ長官の実名を取りあげ、「長官に就任しても、捜査指揮権の行使はないだろう」と述べた。もともと長官の捜査指揮権は、大統領府・法務部・検察が一体のように動いた保守政権では発動自体がなかったという点で、7月の検察定期人事などを通じて「尹錫悦ライン」の復旧が行われれば、あえて捜査指揮権は必要ないということだ。

 ハン氏の指名は、現政権与党「共に民主党」の検察捜査権の廃止推進に対する強力対応だという評価も出ている。ハン氏は「このような法案処理の試みは、必ず阻止されなければならない」と述べた。

キム・ギョンウク記者、ソン・ヒョンス記者、ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1038841.html韓国語原文入力:2022-04-14 02:13
訳M.S

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