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韓国与野党、検察捜査権めぐる衝突が劇的に収拾…仲裁案を受け入れ

登録:2022-04-23 05:28 修正:2022-04-28 09:20
与野党の激しい対立、劇的に収拾 
パク・ピョンソク仲裁案を与野党が受け入れ…28日または29日の本会議で処理 
検察の捜査権と起訴権は分離するものの、補完捜査権は維持で折衷
パク・ピョンソク国会議長(中央)と共に民主党のパク・ホングン(左)、国民の力のクォン・ソンドンの両院内代表が22日午後、国会で「検察の捜査権と起訴権の分離」法案に関する仲裁案に合意後、署名を終えた合意文を掲げている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 与野党は22日、パク・ピョンソク国会議長の提案した「検察の捜査権と起訴権の分離仲裁案」を受け入れることを決め、極限へと突き進んでいた与野党の対立は劇的に収拾された。共に民主党は、「検察の捜査権と起訴権の分離」という大儀名分を、国民の力は「検察の補完捜査権の維持」という実利を得て、双方とも半歩ずつ譲歩した末に妥協に成功したかたちだ。

共に民主党と国民の力はこの日午前、国会でそれぞれ議員総会を開き、党内の意見を取りまとめた後、パク議長の仲裁案を受け入れることにした。パク議長が出した仲裁案は、検察の直接捜査権と起訴権を分離するが、直接捜査権についても、いわゆる「韓国型FBI(連邦捜査局)」と呼ばれる「重大犯罪捜査庁」の発足までは一時的に維持するという内容を骨子としている。この過程で、現行の「6大犯罪(汚職・経済・公職者・選挙・防衛事業犯罪・大型災害)」に限定された検察の直接捜査の範囲も、2大犯罪(汚職・経済)に縮小することにした。また、検察の直接捜査の総量を減らすために、全国の検察庁に残っている6つの特別捜査部(反汚職・強力捜査部)を3つに減らし、特捜部の検察官の人数も制限することにした。

 ただし、検察の是正措置要求事件と告訴人が異議を申し立てた事件などについては、単一性と同一性を害しない水準で検察が捜査できるようにした。検察の補充捜査権を認め、警察の捜査を牽制することを可能にしながらも、これを名目に認知捜査(捜査機関が告訴や告発を受ける前に犯罪の発生を認知し、自ら進める捜査)と別件調査はできないよう明文化したのだ。与野党はまた、「国会司法改革特別委員会」を構成し、重大犯罪捜査庁の発足のための立法を6カ月以内に終え、1年以内に発足させることにした。委員長は共に民主党が引き受ける。

 パク議長の仲裁案は、与野党両党の立場をともに考慮した折衷案に近い。共に民主党の要求にあわせ、検察捜査・起訴権分離の原則を明確にしつつも、検察の補完捜査権は別件捜査の禁止を条件に維持する案を提示し、野党も受け入れられる可能性を残したのだ。共に民主党のパク・ホングン院内代表は、議員総会後、「検察起訴・捜査権の分離原則」と「4月の臨時国会で法案処理」「韓国型FBI設立」に言及し、「この3つが議長の仲裁案に基本的に反映されたとみている。我々の意向がそのまますべて反映されたとはみなしがたいが、仲裁案で不足する部分は今後補完するとして、結論を下した」と明らかにした。国民の力のクォン・ソンドン院内代表も、議員総会後、「共に民主党が提出した法案は、直接捜査権だけではなく補充捜査権まで完全に廃止するものだったが、(仲裁案は)補完捜査権と2次捜査権はそのまま維持し、不正腐敗と大型重大犯罪(経済)の2つに対する捜査権は検察が保有する内容」だとし、検察捜査権の完全剥奪ではないという点を強調した。

 与野党の議員総会に上げられた仲裁案が、大きな反発もなく党内の同意を得られたのは、「十分な事前調整」が土台となったことと、極限の対立による世論の批判に与野党双方が負担を感じたためだとみられる。共に民主党の議員総会では、チョン・チョンレ議員やキム・ヨンミン議員らが、「検察捜査権の完全剥奪」を主張し仲裁案に反対したが、大方の議員は与野党が膝を突き合わせて出した案を受け入れないことによる負担の方が大きいとみて、仲裁に賛同したという。国民の力でも、一部からは懸念を示す声が出たが、クォン院内代表の説明を聞いた議員はおおむね仲裁案に同意したという。

 与野党は来週中に、国会の法制司法委員会で検察捜査・起訴権分離法案をまとめた後、28日または29日に本会議を開き、これを処理することにした。ただし、法制司法委員会で法案をまとめる過程で、与野党間の意見の違いが生じる可能性は残っている。検察の直接捜査権の廃止要件である「検察以外の捜査機関の犯罪対応能力が一定水準に達すれば」という条項(第2項)と「重大犯罪捜査庁の発足時」条項(第5項)が抽象的であるうえ、選択的な概念なのか必要十分条件なのかが明確でなく、議論の余地があるからだ。共に民主党内ではこれについて、重大犯罪捜査庁の発足時期を法案で明確にすべきだという声や、検察に残った2大犯罪捜査権の廃止期限を具体的に明示すべきだという声が上がっている。

 さらに、検察総長をはじめ最高検察庁次長と第一線の高等検察庁のトップが集団辞任するなど、検察が強く反発しているうえ、共に民主党の強硬派議員らが受け入れられないとする声を高めてることも変数となる。キム・ヨンミン議員はこの日、フェイスブックの投稿を通じて、「立法権を持つ共に民主党の国会議員全員の賛成で党の意見を決めたのに、パク議長が諮問グループを通じて作った案を最終的に受け入れろと強要する憲法破壊的な権限の濫用」だと批判した。

シム・ウサム記者、ソン・チェ・ギョンファ記者、キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1040080.html韓国語原文入力:2022-04-23 02:30
訳M.S

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