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法相に指名された尹次期大統領の最側近、1人3役を予告…「実質ナンバー2」になるか

登録:2022-04-15 06:34 修正:2022-04-22 10:49
法務部長官、民情首席、事実上の検察総長の役割まで 
民主党、聴聞会に党の力を集中…「小統領の前兆」
ハン・ドンフン法務部長官候補が今月13日、ソウル鍾路区通義洞の政権引き継ぎ委員会ブリーフィングルームで、尹錫悦次期大統領の第2回内閣発表を聞いている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が指名したハン・ドンフン法務部長官候補に対して、国民の力など保守陣営でも統合と協治の面で納得しがたい人物だという批判が高まっている。前例のないレベルの側近抜擢人事である上、尹次期大統領の最側近であり腹心のハン氏に実質与えられ期待される役割が、法務部長官以上になるとみられているからだ。国務委員(日本の国務大臣に相当)として国政全般に対する政務的判断に加え、民情首席機能の移管による与党および公職社会の監視、捜査に精通した実力者長官として事実上検察総長の役割まで「スーパー国務委員」の登場を予告するという分析だ。共に民主党は、ハン氏を「尹錫悦政権の実質ナンバー2」と規定し、人事聴聞会に党の力を集中させる方針だ。

 まず尹氏は、ハン・ドンフン長官カードで、毎週開かれる国務会議前後に最側近と自然に接触し、コミュニケーションを取る窓口を設けることになった。ハン氏をソウル中央地検長など捜査機関長に座らせた場合、大統領との直接的な接触は政治的にも司法的にも深刻な問題をもたらしかねない。ところが、彼を国務委員に起用することで、このような問題を避けながらも、随時法務検察内部の状況と情報を点検する合法的道が開かれたのだ。さらに、ハン氏に国政全般に対する意見と判断を求める可能性も高い。ハン氏は尹氏とともに主要権力型犯罪を捜査する過程で、世論の動向に注視しながら、捜査情報をどのタイミングでどれだけ流すかなどを見極める能力に長けていると評価された。検察内外では朴槿恵(パク・クネ)前大統領と李明博(イ・ミョンバク)元大統領、ヤン・スンテ元最高裁長官、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長など最高権力との「戦い」で勝利を収めた理由の一つとして、ハン氏の捜査能力とともに政務感覚を挙げる。ソウル地域検察庁のある部長検事は、「ハン氏は検察内でも判断が迅速かつ正確だという評価を受ける人物だ。尹次期大統領が検察にいた頃のように、新政権で重要な判断を下す時、ハン氏と随時意見を交わすものとみられる」と話した。

 尹氏が大統領秘書室で民情首席機能の廃止を公言した点も、ハン氏の存在感を高める要素だ。民情首席室は高位公職者の人事検証と査定機能、政界動向の把握などを担当してきた。このような機能を法務部と警察に任せ、米国のように連邦捜査局(FBI)が主導するモデルに変えるというのが尹氏の公約だ。民情首席室が廃止されれば、法務部長官に力の重心がさらに傾くことになる。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権後半の主要捜査部署から外された「尹錫悦系人物」らは、まだ検察内部では健在だ。ハン氏が法務部長官かつ「事実上検察総長」になり得るとみられるのもそのためだ。検察では李明博政権の初代法務部長官だったキム・ギョンハン長官の前例を取り上げる。キム長官は大統領府の信任をもとに、検察人事から捜査まで陣頭指揮する姿を見せたことで、検察内部で「キム・ギョンハン検察総長」と呼ばれるほどだった。当時、イム・チェジン検察総長は退任する際、キム長官から非公式の捜査指揮を何度も受けたと明らかにし、波紋を呼んだ。ハン氏は指名を受けた感想として、「捜査指揮権は行使しない」、 「検察は悪い奴らを捕まえればいい」と述べたが、文書による正式な捜査指揮ではなく、尹錫悦系人物たらの内部で非公式な捜査指揮はいつでも可能な条件だ。

 民主党のパク・ホングン院内代表は14日、党政策調整会議でハン氏について、「尹錫悦政権の実質ナンバー2、最側近の小統領による国政壟断の予兆だ。がんの塊になる前にきれいに取り除かなければならない」と述べた。同党のチョ・ウンチョン議員も「文化放送」(MBC)ラジオとのインタビューで「(ハン氏は)民情首席を兼ねるスーパー長官になるだろう」と述べた。民主社会のための弁護士会と参与連帯は「検察共和国への回帰の試み」だとして、ハン氏の指名撤回を求めた。

キム・ギョンウク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1038967.html韓国語原文入力:2022-04-1502:40
訳H.J

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