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「面目ない、申し訳ない」…朴槿恵氏に頭下げた尹次期大統領、「保守結集」狙う

登録:2022-04-13 09:43 修正:2022-04-13 12:10
大邱の自宅を訪れ、丁重に表敬訪問 
「名誉回復・政策継承」も約束 
「弾劾と民主主義を否定」との批判の声も
尹錫烈次期大統領が今月12日午後、大邱達城郡にある朴槿恵前大統領の私邸に到着し、朴前大統領を表敬訪問している=次期大統領報道担当室提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が12日、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の自宅を訪れ、「面目ない。常に申し訳ない気持ちがあった」と頭を下げ、朴前大統領の名誉回復と政策継承を約束した。「公正と常識」を掲げた尹次期大統領が、6月1日の地方選挙の勝利と国政運営の動力を確保するために、弾劾を否定する退行的行動を見せたという批判の声があがっている。

 大邱(テグ)・慶尚北道地域を巡回中の尹氏は同日、大邱市達城郡(タルソングン)にある朴氏の自宅を訪問し、50分間の会合を終えた後、記者団に対し「(朴前)大統領の健康について話した」とし、「やはり過去のことがあるので、人間的に残念な気持ちや心の中に抱いていた申し訳なさなどをお伝えした」と話した。尹氏が2016年に特検捜査チーム長として国政壟断事件を捜査し、朴氏に重刑を求刑した「過去の事件」に対し、申し訳ないという感情を表したのだ。

 会合に同席した尹氏側のクォン・ヨンセ政権引き継ぎ委員会副委員長と、朴氏側のユ・ヨンハ弁護士のブリーフィングを総合すると、尹氏は朴氏に過去の捜査について「面目ない。常に申し訳ない気持ちがあった」と述べ、朴氏は淡々と聞いていたという。さらに尹氏は、「朴前大統領の非常に良い政策や業績があるが、そのような部分が十分に知られていないのが非常に残念だ。朴前大統領がしたこと、政策についても継承し、広く広報して朴前大統領がしっかりと知られ、名誉を回復できるようにする」と述べると、朴氏は感謝の意を伝えた。尹氏が「人間的な申し訳なさ」からさらに一歩進み、「陰の実力者による国政壟断」が裁かれ弾劾で幕を閉じた朴槿恵政権の名誉回復と政策継承を約束したのだ。尹氏は「朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が当時、内閣と大統領府をどのように運営したのか資料を見て、朴正煕大統領に仕えて勤務した方々に会い、国政をどのように導いたのか学んでいる」と褒め称え、朴氏に「多くの教え」も要請したという。尹氏が「当選した後、心配でなかなか眠れなかった」と言うと、朴氏は「大統領の座は重くて大きい」と答えた。

 6月1日の地方選挙も彼らの共通の話題だった。尹氏は「大邱・慶尚北道で多くの票を入れてくれたため当選した。票差は小さかったが、大邱の開票が遅れていたことを知り、当選すると思った」と言うと、朴氏は「大邱の発展に多くの関心を持ってほしい」と頼んだ。尹氏が「クォン・ヨンジン大邱市長が(大邱の発展のための)請求書を持ってきた。福祉問題は(慶北大学の)病院長を(福祉部長官に)任命したので、うまく解決されるだろう」と述べ、長年の知人であるチョン・ホヨン元慶北大学病院長を福祉部長官に抜擢した点を強調した。尹氏の大統領就任式の参加要請に対し、朴氏は「現在の健康状態では自信がないが、今後努力してできるだけ出席できるようにする」と応えた。

尹錫烈次期大統領が今月12日午後、大邱達城郡にある朴槿恵前大統領の私邸に到着し、朴前大統領と記念撮影をしている=次期大統領報道担当室提供//ハンギョレ新聞社

 尹氏がこの日朴氏に会い、丁重に挨拶する姿を演出したのは、保守層内部でいまだに脆弱な支持基盤を固めるための行動と見られる。「時代精神研究所」のオム・ギョンヨン所長は、「尹氏は保守政党に迎え入れられた一種の最高経営者(CEO)のような人。依然として大邱・慶尚北道地域のオーナーである朴槿恵氏に、CEOがあいさつに行った状況」だと指摘した。しかし、国政壟断捜査を主導した当事者が、弾劾された前大統領に「面目ない」と頭を下げ名誉回復を約束した行動は、矛盾しており不適切だという指摘もある。正義党のチャン・テス報道担当は同日のブリーフィングで、「(尹錫悦)次期大統領が朴氏に『面目ない』『申し訳なかった』と言ったことは、弾劾を否定し民主主義を脅かす発言」だとし、「検察の公務と国会の責務、憲法裁判所の権威をおとしめた。個人間の感想は言えるが、市民に公開する次期大統領の言語としては非常に不適切だった」と批判した。政治評論家のパク・サンビョン氏も「大韓民国の大統領が正当な理由で弾劾された前大統領に頭を下げることは、尹氏を選んだ国民の自尊心を傷つけることだ」とし、「支持層の結集だけを狙った行動であり、尹錫悦政治の限界になりえる。今後も尹錫悦政治の足を引っ張る可能性が高い」と述べた。

 尹氏が「朴槿恵復権」を試み、朴氏がこれを土台に政治的影響力を拡大しようとする動きは逆風にさらされる可能性があるという分析もある。パク・サンビョン氏は、「朴氏の発言と行動を見れば、大邱・慶尚北道くらいでは特定候補を通じて政治的影響力を回復し、名誉を回復しようとする姿を見せている」とし、「中道層などで逆風が吹く恐れがある」と述べた。

チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1038611.html韓国語原文入力:2022-04-13 02:43
訳C.M

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