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韓国次期政権最初の首相に指名のハン・ドクス氏とは?…15年ぶりに首相再指名

登録:2022-04-04 02:51 修正:2022-04-04 08:14
金泳三政権から李明博政権まで、4つの政権で経済官僚 
 
通商専門家として韓米FTAを主導、盧武鉉政権の最後の首相 
金大中政権の大統領府経済首席、李明博政権の駐米大使など履歴
首相候補のハン・ドクス氏が3日、ソウル鍾路区通義洞の大統領職引き継ぎ委員会のオフィスに入っていく=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 3日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の首相候補に指名されたハン・ドクス氏は、公職生活40年あまりにわたり、保守・進歩政権をまたにかけて高位公職を務めてきた正統経済官僚出身だ。金泳三(キム・ヨンサム)-金大中(キム・デジュン)-盧武鉉(ノ・ムヒョン)-李明博(イ・ミョンバク)の4つの政権で首相、副首相、大統領首席秘書官、駐米大使と、様々な経歴を積んだ。ハン氏が尹錫悦政権の最初の首相に任命されれば、2007年に盧武鉉政権の最後の首相に任命されて以来15年ぶりとなる。

 ハン氏はこの日「新しく指名される首相として尹大統領をお迎えし、行政府が中心となる政策を着実に作り、熾烈な討論とコミュニケーションを通じて実現できるような政策を作るのことに努める」とし、「ここには一つの方法論として協治、統合といったことも非常に重要な政策要素になると思う」と明らかにした。

 全羅北道全州(チョンジュ)出身のハン氏は京畿高校を卒業後、ソウル大学経済学科在学中に行政公務員採用試験に合格し、関税庁で公務員生活を開始。経済企画院(現企画財政部)事務官時代に米国に留学し、ハーバード大学で経済学修士・博士号を取得した。

 ハン氏は「自由貿易協定(FTA)の伝道師」というあだ名を持つ代表的な通商専門家だ。金泳三政権で商工部(現産業通商資源部)通商貿易室長、特許庁長、通商産業部次官を歴任し、1998年には金大中政権で初代外交通商部通商交渉本部長を務めた。開放、競争、規制緩和などを掲げて韓米投資協定の締結を導いたが、スクリーンクォータ制(韓国映画上映義務制)廃止を主張して映画界の反発を買ってもいる。大統領府経済首席在任中の2001年、中国産ニンニク輸入自由化の隠蔽の責任を取って公職から退いた。

 しかし同氏は盧武鉉政権の国務調整室長として復帰し、以降は盧武鉉政権の最大争点事案だった韓米自由貿易協定(FTA)締結に向けた実務を主導した。2005~06年に副首相兼財政経済部長官、首相職務代行を務めた後、韓米FTA締結支援委員長兼大統領韓米FTA特別補佐官を務めた。副首相兼財政経済部長官だった2005年に「不動産投機は終わった」とし、総合不動産税や譲渡所得税の強化などを骨子とした「8・31不動産総合対策」を発表したのもハン氏だ。2007年には盧武鉉政権の最後の首相に任命された。

 李明博政権に「政権交代」した後も、同氏は2009年に駐米韓国大使に任命された。当時、自動車メーカーの労働者を支持基盤とする米国の民主党が韓米FTAの再交渉を要求した際に、各州の上院議員を訪ねて支持を訴えたというエピソードは有名だ。FTA履行法は当時の副大統領のジョー・バイデン現大統領の助けで米議会で可決され、これを機にバイデン大統領とも親交を結んだという。公職を退いた後には、2012年から15年にかけて韓国貿易協会の会長を務めた。

 ハン氏は誠実で自己管理が徹底しているという点が長所としてあげられる。子どもはおらず兵役(陸軍兵長として満期除隊)問題もなく、過去の数回の人事聴聞会でも特に問題は起きていない。政治色が薄く、歴代政権で高位職を経てきたが、同時に権力動向に敏感であることから「世渡りの達人」との評価を受けてもいる。ある元ジャーナリストは自身のSNSで、ハン氏が金泳三政権までは出身地を「ソウル」と書いていたが、金大中政府以降「全羅北道全州」に修正したと主張している。ハン氏はかつての副首相就任当時、無色無臭だと指摘された際に、自身の血液型(O型)について言及しつつ、「私は経済主体の活動を裏で支える促進者の役割を果たす『O型国家のO型官僚』」だと反論している。

 ハン氏が公職社会を離れて久しい「旧官僚」という点をあげ、エネルギーや第4次産業革命など経済転換期を導く首相として適しているのか疑問視する見方もある。国民の力の関係者は本紙に対し「政府が力強く出発するには、もう少し斬新でわが党のアイデンティティがある方なら良かったと思う」としながらも、「民主党の反対を最小限にとどめるための次元と理解している」と述べた。別の関係者は、「ハン氏が『オールドボーイ』だという指摘はやむをえない。他の内閣構成員で補完しなければならない」と述べた。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1037318.html?_fr=mt1韓国語原文入力:2022-04-03 16:49
訳D.K

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