ソ・ウク国防部長官が今月1日、有事の際の北朝鮮ミサイルに対する防衛(迎撃)部隊である空軍ミサイル防衛司令部と、対北朝鮮ミサイル打撃部隊である陸軍ミサイル戦略司令部の改編式を主管した。ソ長官は同日、北朝鮮のミサイル発射の兆候が明確な場合、発射原点に精密に打撃を加える能力を保有していると明らかにするなど、北朝鮮のさらなる軍事行動に対して公に警告した。
ソ長官は、この日開かれた陸軍ミサイル戦略司令部改編式での訓示で「現在、軍は射程距離と正確度、威力が大幅に向上した多量・多種のミサイルを保有し、北朝鮮のいかなる標的も正確かつ迅速に打撃できる能力を備えている」と明らかにした。「特にミサイル発射の兆候が明確な場合には、発射原点と指揮・支援施設を精密に打撃できる能力と態勢も備えている」とし、「戦略的打撃体系」を異例にも公に言及した。最近の北朝鮮の大陸間弾道弾(ICBM)発射などによる国民の安保に対する不安をしずめ、北朝鮮には軍事能力の優位を誇示する意図があるとみられる。
文在寅(ムン・ジェイン)政権が発行した「2020年国防白書」は、保守政権が作った「3軸体系」を「戦略的打撃体系」に変え、「キルチェーンと大量報復を包括する概念」と説明した。文在寅政権は「北朝鮮の核・大量破壊兵器対応体系」に昨年だけで国防予算を5兆8070億ウォン(約5860億円)使うなど、「戦略的打撃体系」能力を向上させ続けているが、これまで国防長官などがこれについて公に言及することはなかった。尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領は、大統領選挙期間中「キルチェーン」と呼ばれる北朝鮮への先制攻撃を強調した。
ソ長官はこの日のミサイル防衛司令部改編式の訓示で「韓国型ミサイル防衛体系(KAMD)を主導しつつ、新しい歴史と伝統を築いていく」とし、「空中と宇宙領域で先端化・高度化している様々なミサイルの脅威に対する韓国軍の監視および防衛能力を強化する転換点になる」と語った。具体的にパトリオットミサイルの性能改良や弾道弾早期警報レーダーの追加導入、「天弓2」の戦力化などについて言及し、「北朝鮮が保有していない高度化した多層ミサイル防衛システムをさらに発展させていく」と明らかにした。
ソ長官は北朝鮮のICBM発射と核実験の兆候に言及し、「陸軍ミサイル戦略司令部と空軍ミサイル防衛司令部は、わが軍のミサイル打撃と防衛を主導する対北朝鮮抑制戦力の二大軸」とし「両司令部が互いに緊密に協調し、敵のいかなるミサイルの脅威にも直ちに対応できる確固たる対応態勢を維持すること」を要請した。
陸軍ミサイル戦略司令部と空軍ミサイル防衛司令部の拡大改編式は、文在寅大統領の裁可を経て改正部隊令が同日公布されたことで開かれた。北朝鮮のミサイルの脅威の変化に対応するため、陸軍ミサイル司令部は陸軍ミサイル戦略司令部に、空軍防空誘導弾司令部は空軍ミサイル防衛司令部にそれぞれ名前を変え、組職を補強した。