過去に韓米連合軍司令部の副司令官を務めた共に民主党のキム・ビョンジュ議員は、大統領執務室が国防部庁舎へと移転するなら、半径8キロ圏のソウル江南(カンナム)地域のマンションの屋上に防空砲台を設置するなどの防護システムの整備が必要だと指摘した。
キム議員は18日、TBS(交通放送)のラジオ「キム・オジュンのニュース工場」のインタビューで、「北朝鮮から飛んでくるミサイルやドローンなどいかなるものであっても、すべてから守れるように(現在の大統領府の)周辺にはそのような防空基地が揃っている」とし「マンションの屋上には当然置かなければならない。対空ミサイルや対空基地を置くわけだ。対空砲とか。民間人のマンションの上とか、会社のビルの上とか」と語った。「龍山(ヨンサン)を中心としてどこまでが8キロかを考えれば、ソウル江南(カンナム)も含まれるが」との司会者の問いに、キム議員は「江南まで含まれうるし、そうなれば飛行航路すらも変えねばならないかも知れない」と答えた。
さらにキム議員は、大統領執務室の移転が市民の財産権を侵害する可能性を指摘した。同氏は「高さ制限もあるため、龍山区周辺は5階以上は建てられなくなる」とし「建て替えとか都市開発計画は修正しなければならない。財産権の侵害になりうる」と述べた。キム議員はまた、「大統領が通れば、そこが常習的に渋滞する可能性があり、(大統領が移動する際には)通信ジャミング(遮断)を行う。問題なかった通話が突然つながらなくなる」とし、「住民が通信に不便を感じる可能性がある」と語った。
キム議員は前日、民主党の国防委員が記者会見で発表した執務室移転の際の直接・間接的なコストが1兆ウォン(約979億円)に達するとの予想の根拠も説明した。同氏は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領側が述べた移転コスト500億ウォン(約49億円)とは「大統領府執務室の移転に向けたリフォームの費用が主なもの」だが、「(国防部庁舎には)合同参謀本部、サイバー司令部、施設本部など10の部隊がある。それらの施設を移転しなければならない」と述べた。
さらに「合同参謀本部の地下にあるEMP施設(電磁波核防御施設)を作るのに1千億ウォン(約97億9000万円)以上かかる」ため、「合同参謀本部の建物の建設には2~3000億ウォン(約196億~294億円)かかり、国防部は約2000億ウォンかかる」と述べた。そして「軍部隊が移転すれば、マンションや福祉施設もセットにしなければならない」とし「そんなことまですべてやっていくと、少なくとも1兆ウォン以上という天文学的な金がかかるのに、そうしたことが予測できていない」と述べた。