国民の力のユン・ソクヨル候補は18日、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領時代を革命にたとえるとともに、李明博(イ・ミョンバク)元大統領の4大河川事業を守ると語り、大邱(テグ)・慶尚北道地域の保守感情を刺激した。与党批判には「イデオロギー論」を持ち出した。
ユン候補はこの日から1泊2日の予定で大邱・慶尚北道・蔚山(ウルサン)・慶尚南道への集中遊説を開始した。公式の選挙運動開始日の15日にも大邱を訪れているが、わずか3日で再び大邱・慶北地域を訪れ、支持固めを行った。慶尚北道亀尾(クミ)の朴正煕元大統領の生家を訪問したユン候補は、訪問録に「朴正煕大統領の経済・社会革命を改めてしっかりと学びます」と記した。さらに記者団には、「朴正煕大統領は経済開発5カ年計画を実行したほか、農村セマウル運動を通じて韓国の経済・社会革命を成し遂げた方」と述べた。朴元大統領を「革命」の主体と述べたもので、5・16軍事政変の正当性を遠まわしに強調したものと解釈される。
公式の選挙運動開始日の15日に大邱を訪れたのに続き、3日後に再び大邱・慶尚北道遊説を行ったユン候補は、演説の度に「朴正煕に対する郷愁」を刺激した。亀尾駅での演説では、「朴正煕大統領時代に慶尚道と全羅道がこのように分断され、これほど派閥争いになったのか。朴正煕大統領が1回目、2回目と大統領になったのは、全羅道の確固たる支持のおかげ」とし「朴正煕大統領は大韓民国の経済・社会革命を通じて、貧困と飢餓の中にあって、それでも我々が民主化を推進するだけの経済力と教育を作り出した」と述べた。ユン候補による朴正煕元大統領に対する称賛は、国政壟断に関して朴槿恵(パク・クネ)前大統領を捜査したことで生じた悪関係をある程度解消しようとの試みとみられる。
遊説先の尚州(サンジュ)では、李明博元大統領の4大河川事業を守ると述べた。ユン候補は「民主党政権は李明博大統領の行った4大河川堰事業を激しく非難して壊しているが、これをしっかり守って、この地域の農業用水ときれいな水を尚州と聞慶(ムンギョン)の市民が安心して使えるように頑張りたい」と述べた。文在寅政権が100大国政課題のひとつとして「4大河川の再自然化」を掲げ、錦江(クムガン)や栄山江(ヨンサンガン)などで堰や水門を開放してきた政策を否定し、評価し直す可能性を開いたわけだ。
与党に対する激しい攻撃はこの日も続いた。ユン候補は尚州駅での演説で、「尚州市民のみなさんと慶尚北道の方々が私ユン・ソクヨルを呼び出して、この腐敗し、無能で非道な民主党政権を打倒せよと呼んで下さり、育ててくださったのではないか」と述べた。また共に民主党のイ・ジェミョン候補の「大庄洞(テジャンドン)疑惑」については、「あの大庄洞腐敗勢力の胴体を大統領候補に選出するあのような突然変異政党に対して、慶尚北道の方々が一致団結し、強力な審判を下していただきたい」と訴えた。現政権の不動産政策の失敗に言及しつつ、「なぜこんなにも住宅価格が眠りから覚めてみれば2倍に跳ね上がっているのか。40年、50年前の古い革命理論で、まだこの社会を導いていこうとして生じたのだ。こうした古い、今や廃棄処分すべき数十年前の社会革命理念でもって彼らだけで固まり、公職も分け合い、利権も分け合うことで国を滅ぼした」と述べた。
亀尾駅での演説では、民主党政権について「40年、50年前に旬の過ぎた社会革命のその理念に陶酔し、その夢から覚めることのできなかった人たちが勢力を保ち、同族だけで利権勢力を構築し、この大韓民国の高位公職と利権を独占した」と主張した。
現政権に対するユン候補の激しい攻撃に、遊説先の聴衆は熱く反応した。国民の力慶尚北道党は「尚州の風物市場ができて以来、最大のおよそ1万人が集まった」と喜び、支持者は国民の力を象徴する赤のマフラーやマスク、軍手を着用して「ユン・ソクヨル大統領」を連呼した。