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7%の未接種者が重症・死亡の53%を占めるが…それでも防疫パス「不要」?=韓国

登録:2022-01-04 09:48 修正:2022-01-04 12:02
一部の市民、「防疫パスは基本権侵害」主張、行政訴訟 
 
7%の未接種者が感染者全体の30%を占め 
重症化率、3回接種者より93%高く 
政府「医科学的に予防効果は明白、 
3回接種率の向上のために防疫パスの有効期限が必要」
3日午後、ソウル鍾路区の飲食店で、ワクチン未接種のある市民がQRコードのチェックインをしている/聯合ニュース

 韓国で3日から新型コロナウイルス防疫パス(接種証明・陰性確認制)の有効期間が適用され始めた。一部の市民は防疫パスを「基本権侵害」と規定し行政訴訟まで起こす中、防疫当局は「ワクチン接種による健康保護の効果は明らか」として対応している。

防疫パスは「基本権侵害」と反発

 政府はこの日から防疫パスに有効期間を適用し、防疫パスが満了した人の大衆利用施設の利用を制限した。防疫パスの有効期間は、新型コロナワクチン2回接種(ヤンセン接種者は1回接種)を終えて14日が過ぎた日から180日(6カ月)。

 有効期間を満了した人は、3回目の接種を受ければ直ちに防疫パスの効力が更新される。防疫パスの有効期間を満了した予防接種認証の電子証明書(クーブ・COOV)をQRコード読み取り機にかざすと「ピンポン」という音が鳴り、施設入場時には過去48時間以内に行ったPCR検査の陰性確認書などを提出しなければならない。有効期間が残っている証明書を当てると、「接種完了者です」という音声で確認される。中央防疫対策本部(防対本)のイ・サンウォン疫学調査分析団長は、この日のブリーフィングで「本日から防疫パスの有効期間が適用される。多少不便かもしれないが必ず必要な措置だ。国民の協力がなければいかなる防疫措置も成功できない」と述べた。

 一部の市民たちは、満18歳以上の人口を基準にすればワクチン2回接種率が90%を超えており、未接種者たちの反発が大きいのに、政府が基本権を過度に制限しているとして防疫パスに反発している。チョ・ドゥヒョン嶺南大学医学部教授を含む一部の医療関係者と宗教関係者、一般市民などで構成された1023人は、昨年12月31日、保健福祉部長官と疾病管理庁長、ソウル市長を相手取ってソウル行政裁判所に行政訴訟を提起した。チョ教授らは「政府が未接種者に対して食堂、カフェ、塾などの社会生活施設全般の利用に制約を加えるかたちでコロナワクチン接種を事実上強要し、重症患者と死亡者を量産している」と主張し、行政処分の取り消しを要求した。さらに、現在実施している防疫パスの措置の中止を求める執行停止申立書も提出した。

昨年12月21日午前、京畿道のある学校で訪問ワクチン接種が行われている/聯合ニュース

政府「ワクチンの保護効果は明白…侵害ではなく保護」

 防疫当局は、ワクチン接種の新型コロナ感染・重症化・死亡を予防する効果は医科学的に明白だとし、このような主張に反論した。この日、防対本が発表した「新型コロナ予防接種効果」の調査結果によると、ワクチン3回接種を受けた後に突破感染(ブレイクスルー感染)が確認された人が28日以内に重症化または死に至る確率(重症化率)は0.28%で、接種を完了していない(未接種・1回接種)感染者の重症化率(4.37%)に比べ93.6%低かった。この調査は、昨年4月3日から12月25日までの50万582人の感染者を対象に行われた。

 中央事故収拾本部(中収本)のソン・ヨンレ社会戦略班長も、同日午前のブリーフィングで「現在、18歳以上の成人のうち未接種者は7%に過ぎないが、感染者全体の30%、重症・死亡者の53%を占めている」とし「人口10万人当たりの比較資料でも(ワクチン)未接種者が接種完了者に比べて重症化率は5倍、死亡率は4倍高くなっている」と述べた。全人口の7%にすぎない未接種者が重症・死亡者の半分を超えるという事実が、ワクチン接種効果を裏付けるという説明だ。

 さらに政府は、現在進行中の3回接種率を高めるためにも、防疫パスの有効期間の実施が必要だという立場だ。3日午前0時現在、満60歳以上の人口のうち77.3%が3回目の接種を完了したが、満18歳以上の人口の3回接種率はまだ41.9%にとどまっている。

 防疫当局は、防疫パスの実施により「ワクチン未接種者」と患者を治療する「保健医療体系」を同時に保護できると強調した。ソン班長は「防疫パスは新型コロナに感染すると重症になる危険性の高い未接種・高齢層の感染規模を最小化するための措置であり、未接種者の感染を減らせば現在より2~3倍多い感染者の規模にも(医療体系が)耐えうる」とし「(社会的)距離措置や防疫パスなしに、感染者の規模を統制し医療体系を安定化する方法はない」と述べた。

3日午後、光州北区の保健所の選別診療所で、新型コロナウイルス検査を受ける市民が待機している/聯合ニュース

「韓国はオミクロンの方が危険である可能性も」

 政府は先月18日から段階的な日常回復(ウィズコロナ)を一時的に中断し、社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)を強化したため、一時的に感染者の規模が縮小しているが、オミクロン変異株の拡散などの影響で防疫状況が再び悪化するものと予想している。

 ソン班長は「オミクロン株は重症化率が低く、デルタ株と比較して危険性が少ない」という主張を一蹴した。「新型コロナの被害は重症化率だけでなく、感染規模も同時に評価しなければならないが、重症化率が30~50%、伝播速度が2~3倍速いという話も出ている」とし、「これまで明らかになったことからみれば、韓国ではオミクロン株がデルタ株よりも危険で、被害が大きくなる可能性があるとみて、緊張している状況」だと述べた。

 防対本がこの日発表した「週間危険度評価」資料によると、オミクロン株の検出率は昨年12月第4週目(3.7%)に比べ、12月第5週目(8.8%)は2倍以上に上昇した。新型コロナ日常回復支援委員会防疫・医療分科委員会は、「オミクロン株流行への対応のために、隔離および患者管理を効率化する指針改正が必要だ」とし「長期的な観点での日常回復戦略の再構成が必要であり、3回接種とワクチン未接種者の保護に対する十分な説明が必要だ」という意見を政府に伝えた。

 嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)も3日、本紙に対し「パクスロビドのような飲む治療薬を使って(重症化率を)下げることもできるが、感染者が大きく増えれば重症化率が低くても全体の重症患者数が同じくらいになる可能性もある」とし「2月末から予想される感染者の増加に備えなければならない」と述べた。

イ・ジェホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1025853.html韓国語原文入力:2022-01-04 07:35
訳C.M

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