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手のひらに「王」、チョンゴン師匠、コンジン法師…野党ユン候補夫妻に巫俗依存疑惑

登録:2022-01-19 06:20 修正:2022-01-28 10:52
国民の力のユン・ソクヨル大統領候補が今月17日、ソウル中区のプレスセンターで開かれた在京大邱・慶尚北道人の新年会に出席し、あいさつの言葉を述べている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 国民の力の大統領候補ユン・ソクヨル氏夫妻をめぐり、巫俗(シャーマニズム)依存疑惑が絶えず持ち上がっている。ユン候補夫妻が僧侶や法師と呼ばれる人達と交流が多く、重要な局面で彼らから助言を受けたという疑惑が党内選挙の過程から現在まで続いているのだ。ユン候補の妻、キム・ゴンヒ氏とインターネットメディア記者との7時間の通話記録にも、ユン候補と易占家との長きにわたる関係が言及されている。過去、朴槿恵(パク・クネ)大統領が長年の側近であるチェ・ソウォン(チェ・スンシルから改名)氏から秘密裏に助言を受け、結局国政壟断につながったことから、ユン候補夫妻の「巫俗依存疑惑」への懸念が高まっている。

巫俗人のC氏(右端)が今月1日、選挙対策本部傘下のネットワーク本部事務所を訪問した国民の力のユン・ソクヨル大統領候補を案内している=ユーチューブ画面より//ハンギョレ新聞社

国民の力、ネットワーク委員会解体したが…「コンジン法師疑惑」解消されず

 国民の力のクォン・ヨンセ選挙対策本部長は18日、懸案に関する記者会見を開き、「ネットワーク本部を直ちに解散する」とし、「ネットワーク本部をめぐり、ユン候補と関連して不必要な悪意的な誤解が拡散する部分に対して断固として遮断するという意味」だと説明した。「コンジン法師」と呼ばれる巫俗人のC氏が、選対本部傘下のネットワーク本部で活動していた事実が確認され、組織そのものをなくしたということだ。

 国民の力は前日午前、C氏が非公式なルートを通じてユン候補の主要な意思決定に介入しているという報道を受け、「(選対本部に)何回か出入りしただけ」だと否定したが、ネットワーク本部が自ら掲載した動画にもC氏が主導的に動く姿が映っており、波紋が広がっている。映像の中で、C氏は今月1日、ユン候補がソウル汝矣島(ヨイド)のテハビルにあるネットワーク本部の事務所を訪問した際、ユン候補を事務所の内部に案内し、関係者たちを紹介した。ユン候補の肩や背中を叩いたり引っ張ったりした後、「みんなこっちに来て。みんな、キム・ヒョンジュン(ネットワーク本部)本部長の横に」、「遊説チームは抜けて、多文化チーム、早く動いて」と状況を指揮していた。また、「(ユン)候補、時間は取らせません。こっちに来て軽く撮らせてください」と言うなど、選対本部の業務にも慣れている様子だった。C氏が選対本部に「何回か出入りしただけ」という国民の力の説明とは全く違う様子だった。

 ユン候補は「コンジン法師」をめぐる疑惑について、「党関係者からその方を紹介していただき、あいさつをしたことがある。僧侶だと認識している。法師だと聞いた」と述べた。しかし、動画に登場するC氏は赤いマフラーを巻いたジャケット姿で僧侶のとは程遠い服装だった。国民の力はC氏を「大韓仏教宗正協議会企画室長」だと紹介した。しかし、コンジン法師が企画室長を務めるという大韓仏教宗正協議会は、2018年9月、忠清北道忠州(チュンジュ)で、「水陸大祭および国泰民安灯篭祭り」を主管し、皮をはいだ牛の死体を供え物にして動物虐待論議を呼んだ。「コンジン法師」C氏は「日光曹渓宗」所属の僧侶として知られているが、曹渓宗側は「日光曹渓宗は曹渓宗とは全く関係ない」と明らかにした。

 「コンジン法師」C氏の存在が明らかになったのは、今回の報道が初めてではない。これに先立ち、ユーチューブ放送「開かれた共感TV」は昨年10月、忠清北道忠州の日光寺のヘウ僧侶に会い、「コンジン法師にユン・ソクヨルを守るよう言った。彼がユン・ソクヨル陣営で役割を果たしている」という発言を報じた。忠州日光寺は曹渓宗と関係のない日光曹渓宗の本山であり、ヘウ僧侶は「コンジン法師」の師だという。ヘウ僧侶はキム・ゴンヒ氏に招かれてコバナコンテンツが主催した展示会に3回参加して祝願をしたこともあった。「コンジン法師」も、キム・ゴンヒ氏を通じてユン候補とつながったことを伺える証言だった。すでに「ユン候補のメンターの役割を果たしている」という疑惑が持ち上がった「コンジン法師」C氏が3カ月後、実際に国民の力のネットワーク本部で活動していた事実が確認されたのだ。

昨年10月1日の討論会(MBN)に出演したユン・ソクヨル前検察総長の手のひらには、漢字で「王」という文字が鮮明に見える=MBNのユーチューブチャンネルより//ハンギョレ新聞社

ユン候補にチョンゴン師匠を紹介したのもキム・ゴンヒ氏

 ユン候補の巫俗依存疑惑は、「国民の力」大統領候補予備選の過程から持ち上がってきた。昨年10月の党内予備選討論会に出席したユン候補の手のひらに「王」という文字が書かれているのがカメラにとらえられたのだ。当時、ユン候補は「同じマンションの住民である支持者が手のひらに書いてくれたものをアルコール消毒液で消そうとしたが消えなかった」と説明したが、有力大統領候補の動線が支持者にたやすく分かるのか、また手のひらの落書きが果たしてアルコール消毒液でも消えないのか、などの疑問を残したまま巫俗依存疑惑は解消されなかった。

 ユーチューバーの「チョンゴン師匠」とユン候補の関係も物議を醸した。「チョンゴン師匠」は、ユン候補が検察総長を辞任した昨年3月4日、「チェ・ボシクのメディア」とのインタビューで、「ユン総長は私から学んでいる人だ。自分に与えられた役割をうまくこなせるよう助けている。10日に一度は会っている」と主張し、「ユン総長が大統領選挙に出る」と断言して、「ユン・ソクヨルのメンター(助言者)」と呼ばれた。波紋が広がると、「チョンゴン師匠」は昨年10月、「YTN」とのインタビューで、「メンターではない」と言ったが、「(キム・ゴンヒ氏から)連絡が来て会ったが、夫のユン前総長も一緒に来た」とし、検察総長の辞任問題について助言したと語った。キム・ゴンヒ氏が「チョンゴン師匠」をユン候補に紹介したことがうかがえる。

チョンゴン師匠=正法ユーチューブより//ハンギョレ新聞社

キム・ゴンヒ氏、記者の人相・手相見て「転職した方が良い、情報関連の仕事が合う」

 キム・ゴンヒ氏と「ソウルの声」のL記者の通話記録からも、ユン候補夫妻が未来を占う易占家に依存して交流してきた内容が確認される。昨年7月20日の通話で、キム氏は「ムジョン僧侶」の名前に触れた。「ムジョン僧侶」はすでに検察周辺でユン候補のメンターとして知られる人物だ。キム氏はL記者に、ムジョン僧侶が「本物の僧侶ではない」としながらも、ユン候補が20代の頃に彼と出会い、「(夫が)司法試験に落ちて、韓国銀行に就職しようとしたが、『あと3年やらなければならない』と言われ、さらに3年頑張ったところ、本当に合格した」というエピソードを紹介した。自分には「あなたはソクヨルと相性が良い」という話もしてくれたという。しかし「(ムジョン僧侶が)文在寅(ムン・ジェイン)大統領になってから夫の前で突然『文在寅は滅びる』と言った」とし、「ならば、夫も滅びるという話ではないか。その時から縁を切った」と語った。キム氏は「わたしはとてもスピリチュアルな人なので、むしろ道士たちと『人生とは何か』というような話をするのが好きだ」と話した。キム氏はまた、「世間では私が巫女(祈祷師)によく会うと言われているが、全く違う。巫女は嫌いだ。私の方が(占いなどは)上手だ」として、L記者の顔と手相の写真を送るように言った後、それを見て「転職した方が良い。国情院、情報業務が合う」と助言した。「ユン・ソクヨル陣営に来て情報収集業務に当たってほしい」という提案とも通じる発言だった。

 これまで明らかになった事実と持ち上がった疑惑を総合すると、ユン・ソクヨル、キム・ゴンヒ夫妻には親しい間柄の易占家がおり、深い交流があったものとみられる。「チェ・ソウォン国政壟断」のトラウマを抱える国民の力は、ユン候補夫妻関連の巫俗依存疑惑を積極的に遮断しているが、依然として懸念は残っている。国民の力のある議員は、「巫俗人問題は、ネットワーク本部を解体し素早く対処した。支持率に大きな影響は及ぼさないと思う」としながらも「メディアに映った形があまり良くなく、誤解の余地があるようだ。重要な時期なのに、(巫俗人が)影のように見えるかもしれない」と述べた。

キム・ヘジョン、チャン・ピルス記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1027806.html韓国語原文入力:2022-01-18 21:02
訳H.J

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