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「65歳になるまで持ち堪えられるように」…韓国、中高年孤独死の危険な現実

登録:2022-01-12 06:44 修正:2022-01-12 07:57
コロナ禍で失業増えたが 
40・50代は労働能力を理由に福祉の死角地帯 
孤独死予防法の後続対策が必要
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 元日、ソウル冠岳区(クァナック)のホームレスの憩いの場で、50代の男性が死亡した状態で発見された。同日、銅雀区(トンジャック)でも別の50代の男性が多世帯住宅の半地下の部屋で死亡してから1カ月後に発見された。コロナ禍が長期化し、低所得の中高年が孤独死する危険性も高まっているが、地方自治体の福祉セーフティネットは労働能力があるとされる彼らを完全には支え切れない。セーフティネットがもう少しきめ細ければ、防げたかもしれない死だ。社会問題として注目される高齢層の孤独死とは違い、あまり注目されない40~50代の孤独死の現実に目を向けた。

 11日の本紙の取材を総合すると、銅雀区の50代の死亡者は昨年9月、「コロナ禍で所得がなく大変だ」とし、自ら舎堂(サダン)1洞の住民センターを訪れ、支援を要請した。緊急生計支援金86万1800ウォン(約8万3千円)が2回支給され、住居給与の受給者として管理を受けてきた。しかし「ソウル見守りアプリ」や「IOTスマートプラグ」など、孤独死予防事業の対象からは除外された。ソウル市は昨年9月から12月にかけて、中高年の単身世帯の実態調査を行ったが、死亡者は「孤独死低危険群」に分類されたという。銅雀区福祉政策課は「有線電話による実態調査の結果、家族もおり、以前は仕事をしていたことが分かり、孤独死危険群とは判断しなかった」と説明した。自治体の管理対象だったにもかかわらず、彼の死が1カ月間放置された理由だった。

 このように孤独死で生を終える低所得層の中高年の多くは、経済的災難に見舞われても「発見」されなかった。福祉の死角地帯にあるからだ。福祉システムに完全に組み込まれるためには、基礎生活保障受給者の条件を満たすほど経済的に厳しくなるか、65歳以上にならなければならない。ソウル市福祉財団の調査(「ソウル市孤独死危険階層実態調査研究」2021)によると、2020年にソウルで発生した51件の孤独死のうち、半分が中高年層だった。研究チームはソウル市葬制給与(葬儀費用)受給者6697人のうち978人を孤独死危険階層に分類した。男性が644人(65.8%)、女性が334人(34.2%)だった。このうち、50代(189人、19.3%)と40代(50人、5.1%)が全体の4分の1の239人(24.4%)に達した。ソウル市福祉財団は研究報告書で「50代で健康に問題にある階層が孤独死危険階層の特性を見せる。男性の場合、糖尿やアルコール中毒、肝硬変、高血圧、心筋梗塞などの疾病がみられる」と指摘した。

 ソウル市福祉財団のソン・インジュ研究委員は「中高年は労働能力のある人に分類される。基礎生活保障受給者など国家支援システムの対象になるためには、労働の可能性が完全に阻まれ、極度に緊急な状況まで追い込まれなければならない状況だ」と説明した。実際、ソン研究委員が中高年の孤独死の事例を分析した結果、基礎生活保障受給者になってから、短くは1週間後に死亡した事例もあったという。適切な医療的支援を受けられないまま、行き詰まって公的支援を受けたものの、機を逸してしまったのだ。ソン研究委員は「『支援の遅れ』は当事者の問題を早く悪化させる。ホームレス生活による健康悪化などにつながる可能性がある」と述べた。

 コロナ禍まで加わり、日雇いや運転代行など、一人暮らしの低所得中高年層の主な収入源となっていた非正規雇用が急激に減ったことによる打撃も大きかった。ソウルのある社会福祉士は「私たちが見た中高年の単身世帯の大半は、最近コロナ禍などで職を失い、急に収入源をなくしたケースが多い。65歳を超えれば基礎年金でも受け取れるようになるが、中高年は書類上の家族が存在するか、わずかな所得が発生するだけでも受給者申請の際に除外される。(福祉館でも)『福祉の恩恵を受けられる65歳になるまで持ちこたえられるように支えよう』とよく話している」と伝えた。

 彼らを支えるべき地方自治体の公務員も、コロナ禍の長期化に伴う追加業務に追われている。ソウル市福祉政策課の関係者は「公務員一人当たり200~300人を管理している上、コロナ禍で共存支援金など追加の業務を行っているため、福祉行政に支障が出ている状況だ。コロナ禍で家庭訪問拒否率もかなり高くなった」と語った。

 昨年4月、「孤独死予防および管理に関する法律」(孤独死予防法)が施行されたが、後続対策づくりは遅れている。同法は、保健福祉部を中心に自治体が集まる孤独死予防協議会を立ち上げ、孤独死予防政策を樹立するよう定めている。しかし、まだ実態調査が始まっていないため、今年下半期になってようやく政策作りが可能になる見通しだ。保健福祉部健康政策局の関係者は、「どの政策も初期に政策をまとめるための基礎設計期間が必要だ。今年から本格的に地域福祉課を中心に政策を推進する計画」と明らかにした。

チャン・イェジ、コ・ビョンチャン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1026944.html韓国語原文入力:2022-01-12 04:59
訳H.J

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