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韓国、全面登校を中断…保護者「来年分の有休を前倒しで使っている」

登録:2021-12-20 07:05 修正:2021-12-20 07:58
政府の「全面登校」維持の方針を信じたが 
遠隔授業への転換で共働き家庭にフォローはなく、ため息 
「学年別の部分登校に防疫効果はない」という指摘も
17日午前、ソウル市内のある小学校に児童が登校している/聯合ニュース

 小学校3年生の子どもをもつKさん(40)は最近、地方に住む両親にソウルに来てもらえないかと頼んだ。政府の「社会的距離措置」(ソーシャル・ディスタンシング)を受け、20日から全面登校が中断されたためだ。Kさんは「新型コロナにともなう様々な理由で、有休がほとんどなくなった状態だ。かなりの数の共働き家庭がそうなっているだろう」と述べ、「最近、子どもが通う学校の別の保護者が、PCR検査の結果が出る日に子どもを学校に行かせたところ、陽性判定が出て、大騒ぎになった。その保護者も出勤するためにそうしたのだと言っていた。結局、地方に住む両親に助けを求めるしかなかった」と語った。

  20日の政府によるソーシャル・ディスタンシング強化措置を受け、首都圏の小中高校と非首都圏の過大・過密学校の全面登校が中断された。非常計画が発動されても全面登校は維持するとしていた教育部が、ふたたび部分登校に方針を変え、教育現場は混乱が増している。特に、小学生の子どもをもつ共働きの保護者らは、冬休み開始の2週間ほど前に急にやって来た子どもの世話をする人がいなくなった事態に、ため息をついている。ある保護者のオンラインコミュニティには、「急に遠隔授業の連絡を受け、会社にまた有休を申請をした。12月は半分も出勤できなかった状態だ。今年の有休はすべて使い、来年分の有休まで前倒しで使っている」という投稿が掲載された。

 保護者らは、コロナ禍で生徒たちが学校にまともに通えなくなって2年目になるにもかかわらず、政府が学習の不十分さを埋める対策をせず、混乱だけが増していると指摘している。水原(スウォン)の高校2年生の保護者のSさん(49)は、「娘に昨年の遠隔授業で学んだことも聞いてみると、一つも思い出せないと言っている。私教育への依存度だけがますますひどくなっている」とし、「遠隔授業を続けるしかないのであれば、学習の不十分さを補える代案を学校が考え続けなければならない」と述べた。ソウルで高校1年生の子どもをもつIさんも、「全面登校の時も、学校で陽性者が出た場合、隔離された生徒は十分には授業を聞けない問題が続いていて不安だった」とし、「授業に対する準備は一様ではない状況で、政府の方針だけが対策なしに変わっている」と批判した。

 冬休みを目前に控え、不規則な部分登校が防疫にどれほど役に立つのかという声も出ている。首都圏の小学校教師のKさんは、「密集度の基準に合わせ、学年別に1週間に1日ずつ遠隔授業を行うという結論が出たが、実際のところ、これが防疫のうえで何か大きな意味があるのか分からない。子どもたちだけが混乱し続けている状況」だと評価した。正義党のソン・ギョンウォン政策委員は、「学年別に分けるとなると、学校全体でみた場合は3分の2であったとしても、子供たちが教室に入れば、結局はクラス内は過密になり、距離措置にはならないことも問題」だと指摘した

 差し迫っていた状況を考慮したとしても、教育部のレベルでもう少し体系的な準備ができていなければならなかったという批判が出ている。「正しい教育保護者の会」のイ・ユンギョン会長は、「方針をこのように変え続けている状況で、子どもの世話と授業の方法についての対策がいまだにこのように不十分であることは問題だ。教育部はその場しのぎで状況を取りつくろうとするのではなく、仕組みをきちんと作らなければならない」と述べた。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/1023933.html韓国語原文入力:2021-12-20 04:59
訳M.S

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