韓国の教授たちは「今年の四字熟語」に「猫鼠同処」を選んだ。「猫」と「ネズミ」(鼠)と「一緒に」(同)と「いる」(処)の4文字で、「泥棒を捕まえる人が泥棒の仲間になった」という意味だ。
12日付の「教授新聞」によると、今年の四字熟語は、推薦委員団の推薦と予備審査団の審査を経た6つの四字熟語から全国の大学教授880人がそれぞれ2つ選ぶことで選定され、「猫鼠同処」は合計1760票のうち514票(29.2%)を得た。同紙は毎年年末、その年の韓国社会を定義する四字熟語を選定し発表している。今年は先月26日から今月2日までの1週間、オンライン調査会社エムブレインを通じて電子メールを用いたアンケート調査を行った。
猫鼠同処を推薦した嶺南大学哲学科のチェ・ジェモク教授によると、猫鼠同処は、中国の後秦の時代に唐の歴史を叙述した「旧唐書」と、これを北宋時代に修正した「新唐書」に、「猫とネズミが同じ乳を吸う」という「猫鼠同乳」という言葉とともに出てくる。普通、ネズミは穴を開け穀物を盗んで食べ、猫はネズミを捕まえる。このような敵同士の関係でありながらも、上下の官吏たちが不正に結託し、悪事を共に犯すことを指摘した言葉だ。
チェ教授は「猫鼠同処」を推薦したことについて、「各所で、または与野党の間で、立法、司法、行政の判断基準を疑い不公正だとする争いが絶えなかった」と述べ、「国政に厳正な責任を負ったり、公正に法を執行し施行されていることを監視する人々が、利権を狙う人々と手を組み利権に介入したり関係した状況を(2021年には)よく見かけた」と理由を明らかにした。
猫鼠同処を選んだ教授たちの理由は様々だったが、「権力者が手を組み不正を犯している」(60代・社会)のような回答が最も多かった。ある70代の人文学教授は、茶山・丁若鏞(チョン・ヤギョン)の寓話詩「狸奴行」を引用し、「取り締まる者と取り締まられる者がひそかに通じればできないことがない」と指摘した。
来年の大統領選を心配する意味で、猫鼠同処を選択した教授もいた。そうした教授らは「誰がより腐っているかを競争するかのようで、リーダーになろうとする人々の道徳性に疑問が多い」(40代・その他)、「相対的にましな候補を選択し、国運を任せなければならない状況」(60代・社会)だと批評した。
2位につけた「人困馬乏」は、「人と馬のどちらも疲れ果てている」という意味で、劉備が長い逃避の道で「毎日逃げていると、人も馬も気力が尽きた」と言ったという三国志の話から取った四字熟語だ。人困馬乏を推薦した梨花女子大学のソ・ヒョク教授(国語教育科)は、コロナ禍を劉備の逃避の道にたとえ、今年を「新型コロナから逃れようとするあまり全国民も国も疲れ果てた1年」だと定義した。人困馬乏は、40代教授の270票のなかでは猫鼠同処と人困馬乏がともに67票(24.8%)を得て、同率1位となった。
この他には、自己の利益のために犬のように争うことを意味する「泥田闘狗」(17.0%)、判断力が鈍くて融通が利かず、俗事に暗いという「刻舟求剣」(14.3%)、極めて困難で危険な状況を意味する「百尺竿頭」(9.4%)、水に落ちた子どもを探す心情で庶民の生活の面倒をみなければならないという「孺子入井」(9.0%)が今年の四字熟語として推薦された。