2018年6月28日、良心的兵役拒否者を刑事処罰する根拠となっていた兵役法条項に対し、韓国の憲法裁判所が憲法不合致の決定を下した。憲法裁自らも2004年と2011年の合憲決定を7年たって覆したもので、良心による兵役「拒否」を兵役「忌避」と同一視して懲役1年6カ月の「正札判決」を行ってきた慣行に楔を打ち込んだ決定だった。政府樹立後、徴兵制導入以来初めて良心的兵役拒否者が刑務所に行かずに済む道が開かれたのだ。
もちろん、1950年以降、宗教的信念や良心に基づき軍入隊や執銃などを拒否して処罰された人々が1万9千人余りに及んだ現実を見ると、このような変化さえも遅すぎるというのが事実だ。2001年のエホバの証人を筆頭に、平和運動家のオ・テヤンさんらが公に兵役拒否を宣言したことから始まった良心的兵役拒否運動が、18年目にして実を結んだのだから。
2001年2月の本紙の報道で初めて世間に知らされた「勇敢な臆病者たち」の軍隊拒否宣言は、韓国の強固な軍事主義に対する挑戦だった。その流れは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権のイラク派兵に反対して部隊復帰を拒否した現役軍人や、李明博(イ・ミョンバク)政権当時、狂牛病(BSE=牛海綿状脳症)牛肉輸入反対ろうそくデモを鎮圧した義務警察の良心宣言などにつながり、兵営社会に亀裂をもたらした。このように「銃を持たない自由」のために自ら監獄に入った人々は、大統領が3回も替わってようやく代替服務制という勝利を得ることができた。
9日に公開されるキム・ファンテ監督の「銃を持たない人々:タブーへの挑戦」は、韓国の良心的兵役拒否運動が歩んできた18年を記録したドキュメンタリー映画だ。兵役拒否者であり、市民団体「戦争なき世界」の活動家であるイ・ヨンソクさん、チェ・ジョンミンさんと、イム・ジェソン弁護士を中心に良心的兵役拒否運動が韓国社会をどのように変化させるかを見せてくれる作品だ。2003年に発表された同名のドキュメンタリーが、仏教信者のオ・テヤンさんやエホバの証人の信者たちの話の記録だったとすれば、今回公開されるドキュメンタリーには、宗教的信念による兵役拒否から次第に個人的な良心や性向による兵役拒否へと広がる運動の様子や、2018年の憲法裁の決定を受け代替服務制度が導入されるまでの過程が描かれている。
闘いの中心には軍事主義に反対する市民団体「戦争なき世界」があった。当初、良心的兵役拒否の当事者と彼らを支持する後援者だった活動家らは、その後、運動の方向性と役割について悩み、武器取引に反対する平和運動へと進化した。兵役拒否から前進し、軍需産業そのものに対する問題提起へと視線を広げたのだ。
この映画で第12回DMZ国際ドキュメンタリー映画祭で最優秀韓国ドキュメンタリー賞を受賞したキム監督は、現役軍人としてイラク派兵に反対し兵役拒否を宣言したカン・チョルミン二等兵と、キリスト教連合会館708号で一緒に立てこもった人々の物語を描いたドキュメンタリー「708号、二等兵の手紙」(2004)を制作した。
先月24日に開かれたメディア試写会後の記者懇談会で、キム監督は「映画の中でも非常に男性中心的な韓国社会に対する悩みが多かった」とし「軍隊に行ったほとんどの男性が、軍隊で経験した文化を家庭に受け継いでいると思う」と話した。さらに「男性中心の文化がもう少し薄くなれば、韓国社会がもう少し発展し、変化する可能性がもっと多くなるはず」とし「このような点が『戦争なき世界』が繰り広げた平和運動の意味」だと述べた。