仁川(インチョン)の40代の夫婦が先月24日のナイジェリアからの入国後にオミクロン株に感染していることが確認されたが、その息子も変異株に感染していたことが2日に確認された。これまでに韓国国内で確認されたオミクロン株への感染者は6人で、その濃厚接触者は数十人、その数十人と接触して新型コロナウイルス検査を受けるべき人の数は850人以上にのぼる。さらなる地域社会での「n次感染」の可能性が現実のものとなる中、迅速な疫学調査を実施するとともに、変異株検査システムを整えるべきだとの声があがっている。
中央防疫対策本部(防対本)は2日夜、仁川の40代の夫婦の10代の息子が先月30日にコロナ陽性反応を示したのに続き、オミクロン株に感染したことが確認されたと発表した。この息子はコロナワクチンの未接種者で、親が先月25日にコロナ感染が確認された時から自主隔離に入っており、対面授業にも出席していない。
防対本の統計(2日2時現在)を総合すると、40代の夫婦と知人のAさん、2人の50代女性の計5人と、検査結果を待っているAさんの家族2人などと関連して、防疫当局が濃厚接触者と把握し自主隔離措置を下した人は現在のところ65人。Aさんと接触してオミクロン株への感染が疑われると分類された人の濃厚接触者40人も含めると、オミクロン株の濃厚接触者は105人。40代の夫婦と2人の50代女性が搭乗していた飛行機の搭乗客も含めると、接触者(濃厚接触者+飛行機の搭乗客)は272人にのぼる。
40代の夫婦は疫学調査で「先月24日に入国し、空港防疫タクシーで帰宅した」と述べていたが、実際にはAさんが運転する車で帰宅していたことが防疫当局の調査で明らかになった。その後Aさんは、夫婦が確定判定を受けたことを知ってコロナ検査を受け、29日に判定を受けるまでの間、病院や飲食店などを訪れていた。また仁川市によると、オミクロン株への感染の疑いで防疫当局が全ゲノム配列解析(ウイルスの全遺伝子の検査)を行っているAさんの家族2人は教会を訪れていた。同教会の礼拝参加者(381人)およびプログラム参加者(411人)と運営者(56人)の計848人がコロナ検査を受ける予定だ。Aさんの家族を含めてオミクロン株の感染者はさらに増える可能性がある。
専門家は、オミクロン株が短期間に地域社会に広がる可能性を懸念している。高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は「もしデルタ株より感染力が高いウイルスであったなら、主要なリスクとなるまでに長くはかからないだろう。現在はこれまでよりずっと多くの患者が発生しているため、デルタ株の時よりウイルスが地域社会で広がりやすい」と述べた。2日午前0時現在で、過去24時間以内に新たに確認された韓国国内のコロナ感染者は5266人。重症患者は733人で、両者ともに2日連続で過去最多。
防疫当局は、疫学調査の強化や自主隔離の拡大などの対策を打ち出している。防対本のチョン・ウンギョン本部長(疾病管理庁長)はこの日「海外から入国するすべての感染者に対しては全ゲノム配列解析またはターゲット遺伝子検査を追加で実施し、オミクロン株かどうかを確認する」とし「変異株の感染者と接触したすべての人については、24時間以内に接触者の調査と管理を完了するよう、疫学調査を強化する」と述べた。また、オミクロン株の感染者と接触した場合は、ワクチン接種の有無とは関係なしに2週間の自主隔離を実施するという対策も打ち出した。
問題は、感染を分類し、遮断するための調査の「スピード」だ。オミクロン株の確認には全ゲノム配列解析などを用いるが、これには3日から5日かかる。防対本は、この期間の短縮に向けてオミクロン株を区別できる変異PCR検査法を開発するが、それには1カ月ほどかかると述べた。
専門家は、国内のオミクロン株を大量に素早く識別する様々な方策を講じるべきだと指摘する。翰林大学江南聖心病院のイ・ジェガプ教授(感染内科)は本紙に対し「検体量が多いと分析に時間がかかる。全ゲノム解析が得意な民間企業への検査の委託の大幅な拡大も考慮すべきだ」と述べた。前疾病管理本部長である翰林大学聖心病院(呼吸器内科)のチョン・ギソク教授は「デルタ株の時のように変異検査法を準備しつつ、今回の事例のようにアルファ株、ベータ株、ガンマ株のPCR検査を用い、(消去法で)オミクロン株への感染を疑うというやり方でやって行くべき」と付け加えた。これに対してチェ・ウォンソク教授は、「疫学調査は現在の人数で対応できる水準をすでに越えている。今の水準だと、接触者管理も広い範囲ではできない。疫学調査人員の拡充が必要だ」と述べた。