韓国の国会の外交統一委員会が1日、世界最大の自由貿易協定(FTA)と呼ばれる「地域的な包括的経済連携協定」(RCEP)の批准同意案を議決した。批准同意案が本会議を通過すれば、来年2月初めにも発効する見込みだ。
外交統一委はこの日午後、全体会議を開き、RCEP批准同意案を政府原案どおり議決した。この協定には、ASEAN10カ国、韓国、中国、日本、オーストラリア、ニュージーランドが参加している。韓国を含めインドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピンはまだ国会批准の手続が済んでいなかったが、ASEAN6カ国と非ASEAN国家4カ国が批准手続を終え、協定発効の条件は充足している。協定は来年1月1日の公式発効を控えている。協定加入15カ国の国内総生産(GDP)の規模は、2019年基準で25兆6千億ドルで、全世界の国内総生産(GDP)の30%水準に達し、人口規模も22億6千万人で世界の30%を占める。
この日の会議で委員たちは「超党派的措置」だとして批准同意案を議決したが、政府が昨年11月に協定文に署名しておきながら、1年後に国会に批准同意案を提出した点を強く批判した。
国民の党のイ・テギュ委員は「(批准案が明日の)本会議で通過したとしても、効力発生は60日後であるため2月初めにようやく(発効が)可能となる」として、「他の国々は来年1月1日からRCEPが作動する。韓国は少なくとも1カ月以上にわたり関税の恩恵を得られないことになる」と批判した。イ議員は「1年間政府は何をしていたのか」として「もし韓国企業の輸出入の過程で関税の恩恵を受けられないとしたら、該当部署に国会が警告し、関連公務員は問責せざるをえないのではないか」と指摘した。
これに対し産業部のチョン・ユンジョン通商交渉室長は「国内手続を15カ国のうち一番厳格に進めた」として「委託研究を5カ月程度実施し、RCEPという膨大な協約が韓国の産業と経済にどんな影響を及ぼすのか、専門家が評価した」と説明した。
だが、国民の力のチョ・テヨン議員は「RCEP協定は貿易の開放度がきわめて低い協定」とし「被害額が推算されたが年間77億に過ぎない」と指摘した。また「複雑でない内容で妥結したのに、被害を推算し補完策を用意するのに1年かかったというのは、政府において自分がすべきことをタイムリーにできなかったとしかみられない」と批判した。チョ議員はまた「与野党が合意して今日ワンポイントの常任委を開き、RCEP貿易協定の批准同意をしたが、これは総合的に国益を考慮した超党派的な与野党協力の結果」として、政府が国会に対する報告義務を履行せず、国会に十分な検討の時間を与えなかった点を批判した。政府の公式見解を問うチョ議員の質問に、外交部のチェ・ジョンゴン第1次官は「総合的な国益を考慮した超党派的措置という言葉を重く受け入れる」として「政府はこの間に指摘された事案について、適切に取りまとめられなかった部分に対して謝罪と遺憾を表明する」と答えた。