中国が、韓国など他の国家のように段階的な日常回復(ウィズコロナ)形態に防疫政策を変えた場合、一日で新規感染者が最大63万人を超える可能性があるとの指摘が出た。南アフリカ共和国が確認したオミクロン変異株の拡散の懸念の中で出てきた主張であり、注目を集めている。
28日の「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」の報道を総合すると、中国の北京大学所属の数学者4人で構成された研究チームは、前日の「中国疾病予防統制センター週報」に掲載した論文でこのように主張し、「中国は段階的回復のための準備ができておらず、格別の対策なしに義務隔離などの出入国制限を含む強力な防疫措置を解除してはならない」と強調した。
現在中国では、新規感染者が1人でも発生すれば、近隣地域の住民全員を対象に新型コロナ検査を実施し、感染者が発生した住宅団地は危険地域に指定し封鎖管理に入る。新型コロナ感染者が発生した地域の住民に対しては、地方政府次元で移動制限措置を下してもいる。
昨年3月から現在まで観光ビザの発行中断をはじめ、必須人材を除く外国人の入国も徹底的に遮断している。また首都北京では、外国からの入国者に対しては国籍やワクチン接種の有無にかかわらず、3週間指定された施設での隔離を義務づけている。それでも散発的な新型コロナの流行が続いているが、「ゼロコロナ」から「ウィズコロナ」に政策基調を変えるべきとの指摘が出たことがある。
研究チームは「新型コロナとの共存:予測と観点」というタイトルの論文で、米国・英国・イスラエル・スペイン・フランスの5カ国の資料を基に、中国が今後これらの国のような段階的な日常回復措置に移行した時に発生しうる結果を、人口密度などを基に予測した。比較時点は今年8月で、比較対象の5カ国はすべて中国(54%)より新型コロナワクチン接種率が高い状態であった。
研究チームが予測した結果、中国が米国と同じ防疫政策を適用すれば、一日の新規感染者が63万7155人に達することが明らかになった。8月末現在で米国の一日平均の新規感染者は15万98人を記録した。また、中国が英国やフランスと似た防疫政策を適用すれば、一日の新規感染者がそれぞれ27万5793人と45万4198人に達することが明らかになった。
研究チームは「予測結果は、中国が段階的な日常回復に移行する準備が全くされていないことを明確に示した」として「一部の西欧国家の主張のようにワクチン接種率を高めて集団免疫を実現するだけでは不十分だ」と指摘した。