国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で、英国、日本、ノルウェー、米国、フランス、オーストラリアなどの、世界の気候変動対策論議の中心にある先進国が、その「努力」に見合った賞を国際市民団体から授与された。賞の名前は「本日の化石賞(Fossil of the Day)」。実際には気候危機対応の流れに逆行している国々に与えられる、感謝ではなく嘲笑の意味が込められている賞だ。
130カ国以上の国の1500以上の気候・環境団体からなるCAN(Climate Action Network-International)は、2009年11月からCOPなどの主要な気候行事が開かれるたびに、気候変動への対応に後ろ向きな国などに「本日の化石賞」という汚名を着せている。気候変動分野で「最悪になるために最善を尽くす国に恥をかかせよう」との趣旨からだ。化石燃料の退出に消極的だったり、温室効果ガスの削減目標を示さなかったりする国などが選ばれる。
COP26開幕から4日目の3日(現地時間)までに、早くも6つの国と1つの機関が受賞者に選ばれた。1日に最初の受賞国となったのは英国だ。COP26の議長国として、宿泊難を招いたり、参加者たちを長蛇の列に待機させたりするなど、アクセスの悪い気候会議を作ったという理由からだ。同日、2番目の栄光は「気候悪党」の1つに数えられるオーストラリアのものとなった。温室効果ガス排出量を減らすための努力を多方面で行っていないとの理由からだ。CANは「新たな2030年目標も、温室効果ガス排出量を減らしたり化石燃料を段階的になくしたりするための新たな政策も打ち出さず、国際的なメタン削減のための枠組みからも抜けた」とオーストラリアを批判した。
2日目の最初の受賞者はノルウェーだ。未来の技術が温室効果ガス排出量を削減するという過度な信頼と、石油輸出問題によって化石賞に選ばれた。CANは「ノルウェーは『気候チャンピオン』の役割をすることを好むが、炭素捕集・貯蔵(CCS)を化石燃料生産の解決策だと宣言し、石油とガスのさらなる開発を要求した」と指摘した。この日の2番目の化石賞は日本に贈られた。2050年まで石炭発電を維持するとともに、アンモニアと水素を新たなエネルギー源として使おうとしているとの理由からだ。CANは岸田文雄首相に向けて「こうした初歩的で高価な技術が(気温上昇幅の制限値である)1.5度目標を達成する可能性はほとんどないということを理解する必要がある」と述べた。オーストラリアは気候変動対策の一環として、検証されていない技術に資金を投入しているとして、前日に続いてまたも受賞した。
国際社会の気候変動に関する議論を主導する米国も、化石賞の受賞を避けることはできなかった。米国は3日目の最初の受賞者に選ばれた。ジョー・バイデン政権が発表した農業分野の気候変動対策である「AIM4C」が農家を仕事から排除するとの理由からだ。近ごろ原発の重要性をとみに強調しているフランスも同日の受賞者となった。CANはフランスに対し「欧州連合(EU)のタクソノミー(緑の分類体系)を組むにあたって化石ガスと原子力の統合を推進している」とし「持続可能な投資のための分類体系であるタクソノミーを破壊している」と述べた。
この他にも国際排出量取引協会(IETA)が、実質的な削減努力は行わず、炭素市場を通じた安易な炭素排出量の相殺を助長しているという評価とともに化石賞を受賞した。COP26の残りの期間の最重要課題として、国家間の炭素排出量取引を前提とした炭素排出履行規則を論議する加盟国に、前もって警告を発したかたちだ。