サムスンバイオロジックスが委託生産したモデルナ社の新型コロナウイルス感染症ワクチン243万5千回分が初めて韓国に導入される。韓国国内で生産された新型コロナワクチンを国内で使用する2番目の事例で、韓国政府は供給不安の問題があったモデルナ社ワクチンの供給の安定性が高まると期待している。
中央災害安全対策本部(中対本)のリュ・グンヒョク第1総括調整官は26日のブリーフィングで、「サムスンバイオロジックスが委託生産したモデルナ社ワクチンの最初の物量243万5千回分が今週中に韓国に導入される」とし、「今回導入されるモデルナ社ワクチンは2回目の接種および高危険群を対象にした追加接種(ブースターショット)などに幅広く活用される予定」だと明らかにした。
今回の導入は、今年5月22日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領が出席した中、サムスンバイオロジックスとモデルナ社の間でワクチン委託生産契約が締結されてから約5カ月後に実現した。契約締結後、政府はワクチン供給の安定性および流通費用と期間の短縮のため、国内生産ワクチンを国内で供給できるようモデルナ社と協議を行ってきた。
食品医薬品安全処は今月25日、国内生産のモダルナ社ワクチンに対する医薬品製造および品質管理基準(GMP)認証を完了し、緊急使用まで承認した。すでに国内で接種に使われているモデルナ社ワクチンとサムスンバイオロジックスが委託生産したワクチンは、食薬処による許可の種類が違う。海外から輸入されたモデルナ社ワクチンは輸入品目の許可を受けたもので、サムスンバイオロジックス製ワクチンは委託生産といっても国内の工場で作られたものであるため、国内製造品目の許可を別途に受けなければならない。キム・サンボン食薬処バイオ生薬局長は「導入が確定した234万5千回分は緊急使用承認されたもので、正確な数量は分からないが、サムスンバイオロジックスが追加生産を行っていると把握している」と述べた。
今回の導入はSKバイオサイエンスのアストラゼネカ社ワクチン以降、国内企業が生産した新型コロナワクチンを国民に接種する2番目の事例だ。アストラゼネカやノババックス、スプートニクVに次いで4番目に国内製造される新型コロナワクチンで、韓国でもmRNAや合成抗原、ウィルスベクターなど多様なプラットフォームのワクチンが生産されることになった。
今年8月、モデルナ社は製造所の実験室に問題が生じたとして、韓国への導入が予定されていた850万回分の半分以下を送ると通知するなど、数回にわたって供給に支障をきたした。今後、モデルナ社ワクチンが国内で委託生産されるため、国内供給の安定性は高まるものと見られる。中央事故収拾本部のチョン・ウニョン・ワクチン導入事務局長は「ワクチンが国内で生産されれば、生産と供給状況を迅速に把握できるため、供給の安定性が高まる」とし、「政府はワクチン供給の安定性の確保と流通過程の効率化の面で、国内委託生産分の国内導入が望ましいと考えており、モデルナ社もそれについて共感している」と述べた。
リュ・グンヒョク調整官は「コロナ禍が長期化する中、国内に安定したワクチン生産基盤を整備する一方、韓国が世界的なワクチン供給に貢献するワクチンハブとして位置づけられるきっかけになるだろう」と述べた。