韓服(ハンボク)を着たマネキンが店主のいない店舗を一人で守っていた。ほこりを被った韓服の写真と空っぽの棚がマネキンの後ろに見えた。12日昼に訪れたソウル鍾路区(チョンログ)の広蔵市場別館2階の韓服商店街は、空き店舗が目立っていた。約40年間、韓服を販売してきたというAさん(68)は「向かい側や隣の店は商売をやめて久しいが、暗いのが嫌で、そこにうちの店の韓服を着せたマネキンを並べ、明かりをつけておいた」とし、「この区域には7つの店があったが、すべて閉店し、私だけが残った」と語った。Aさんも来年3月にはテナント契約を更新せずに店を畳むつもりだ。
先月、英国のオックスフォード英語辞典のホームページで「韓服(Hanbok)」「韓流(Hallyu)」などの単語が新しく加わることが発表されるなど、最近の韓服が韓流ブームとともに注目されている。韓国のアイドルやドラマを通じて韓服が外国でも人気を集めている。韓服文化週間(11日~17)を迎え、12日に開かれた国務会議(閣議)では、文在寅(ムン・ジェイン)大統領とキム・ブギョム首相など国務委員ら全員が韓服を身に着けた。
しかし、「韓服のメッカ」として有名な広蔵市場の韓服商店街の商人たちは、増えていく空き店舗を見ながら、毎日ため息をついている。一時は客足が絶えなかった同商店街が衰退していく背景には、韓服をあまり着ない時代の変化や人口減少などによる結婚の減少、店主の高齢化など複合的な要因がある。このような状況で、店主たちは新型コロナウイルス感染症の感染拡大が韓服商店街に決定的な打撃を与えたと口をそろえる。
韓服商店街で50年間韓服を売って裁断をしてきたBさん(78)は「以前は土曜日にはお客さんが結構来ていたが、コロナ禍以降は人数制限などで結婚式そのものが減り、かなり簡素化しているため、週末も閑散としている」と話した。Pさん(61)は「以前から売り上げは緩やかな下り坂だったが、コロナ禍で急激に減少した。今や売上がほとんどない状態」だと話した。「テナント料も払えない人が多いが、この年齢で仕事を辞めたら行くところがなく、店を守っている」と打ち明けた。店主らは「店舗数がこの10年間で200店余りから50店ほどに減った」と言う。
店主らは、韓服が世界で人気を集めても、徐々に伝統韓服の命脈が絶たれる可能性が高いと懸念した。韓服用のペチコートや足袋などを販売するKさん(62)は「斜陽産業なので、この仕事を継ごうとする若者もおらず、もともと仕事をしてきた人たちも年を取って徐々に現場から消えている」とし、「今は私たちも(韓服作りの)技能者に会いたくても会えない。技能が伝授されていない」と語った。Kさんは「時代の流れというものは仕方がないが、悲しい」と言葉を濁した。隣の店には貸店舗と書かれた紙が貼られていた。