京畿道城南市大庄洞(ソンナムシ・デジャンドン)の特別恩恵開発疑惑に関し、宅地開発事業会社の火天大有に現在在職中のチェ・ユンギル元城南市議会議長が、約10年前に「大庄洞を民間事業者が開発できるよう協力してほしい」という請託とともに、億ウォン台の金品ロビーを受けていた事実が確認された。
これに関する内容は、本紙が入手した2016年1月の不動産開発業者「大庄プロジェクト金融投資(大庄PFV)」代表のL氏の一審判決文(水原地裁刑事11部、ナ・サンヨン裁判長)に詳細が書かれている。L氏は約10年前の2000年代後半に大庄洞の民間開発を推進した人物で、最近問題の大庄洞開発の主役とみられているナム・ウク弁護士、チョン・ヨンハク会計士などを諮問グループとして抱えていた。しかし、民間開発が暗礁に乗り上げたことで、2010~2011年ごろ事業権をナム弁護士らに譲って大庄洞から手を引き、2016年にロビー容疑で懲役3年の判決を受けた。
判決文によると、チェ・ユンギル市会議員は、火天大有の民間投資家の一人であるチョン・ヨンハク会計士の紹介で、2010年1月、大庄PFV代表のL氏と子会社の資産管理会社である大庄AMC代表のK氏らと会った。大庄PFVの会計担当だったチョン会計士は、5581万ウォン(約520万円)を投資して644億ウォン(約60億円)の配当金を受け取った天火同人(火天大有の子会社)5号の実所有者で、最近、検察に火天大有の収益配分に関する録音記録を提出したという人物だ。
チョン会計士は「チェ市議は2006年から大庄洞一帯を選挙区として城南市議を務めた人物なので、良い関係を維持したほうがいい」とし、会合の席を取り持った。L氏側も、「大庄洞の都市開発事業から韓国土地住宅公社(LH)を撤退させ、城南市から民間開発方式の都市開発指定承認を受けられるよう、市議会で協力してほしい」と、チェ市議に頼んだ。
さらに彼らはチェ市議に賄賂を渡す方法を考え、「チェ市議の車が古かったからエクウスより等級の高い車を買ってあげよう」とした後「危ないかもしれないから、車の価格に税金と保険料を含めて1億ウォンを渡そう」と共謀した。そして2010年6月、城南市の炭川総合運動場内のスケート連盟事務所で、現金1億ウォンが入った紙袋をチェ市議に渡した。
2014年から2015年に「大庄洞ロビー」捜査が進められ、L代表やナム弁護士などが逮捕され、チェ市議も賄賂容疑で立件され検察の取り調べを受けた。しかしチェ市議は「受け取った金が現金であることを知り、腹を立てて返した」と主張し、嫌疑なしの処分を受けた。
ロビーが進められた当時は、大庄洞でLH中心の公営開発が推進されていた時だった。このため、民間開発を推進していたチョン会計士らは、チェ市議に市議会で民営開発を促す議会活動を要請した。当時、民間開発を推進していた関係者は本紙の取材に対し、「私たちが市政質疑書を代わりに書き、チェ市議が発表したりもした」と語った。
本紙が確保した当時の大庄PFVと大庄AMCの文書の中には「市政質疑書(チェ・ユンギル)100318.hwp」というタイトルのファイルも含まれていた。業者側が代わりに作成したというこの質疑書には、「盆唐区(プンダング)大庄洞について知っていますか?行ったことはありますか?町の方々の招待で初めて大庄洞を訪れた日、私は大きなショックを受けました」、「LH公社は今、深刻な財政赤字によって多くの事業所を整理・放棄しており、補償ができず事業が中断し、長期間放置して住民たちが莫大な被害を受けている所が少なくありません。大庄洞も同じことになるというのは子どもでも分かる事実です」など、大庄洞の民間開発の必要性を強調する内容が書かれている。
チェ市議は2010年8月24日、城南市議会行政企画委員会で、業者側が作成した市政質疑書に書かれた内容の一つである「公営開発に賛成する住民連名リスト」が捏造されたものだという疑惑を提起した。
これに関し、当時城南市議を務めたある人物は、「当初から、チェ市議などセヌリ党議員2、3人が大庄洞開発の民間業者と何らかの関係があるという話があちこちから聞こえていた。実際、一部の議員は(民間業者から)事務所を無償提供されたり、金品を受け取ったと聞いている」と述べた。
2010~2012年の第6代城南市議会の前半期、ハンナラ党(セヌリ党)の代表を務めたチェ市議は、2012年7月下半期に城南市議会議長に選出された。しかし、選出過程で内紛によってセヌリ党を離党した後、無所属で過ごし、民主党に所属を移した。2018年の地方選挙に無所属で出馬したが落馬した。
本紙はチェ氏に大庄洞開発に関する立場と、火天大有への入社の動機などを聞くために数回連絡したが、携帯電話の電源が切れていたため通話できなかった。